屋台
てっきり王様の元に連れて行かれるかと思っていたのに‥。
まさか馬車から降ろされるとは思っていなかったので正直ビックリしていた。
「どうしますか?」
葵さんがすぐに腕時計を通して声をかけてくれる。
その言葉にはいろいろな意味があるように思えた。
「まだ帝国の真意がわからないので、今はバスの中で待機していて。」
まだ帝国を100%信じられそうにないので、葵さん達を外に出す気にはなれなかった。
まずは宿屋を目指す事にするが、もちろん初めてきた街なので場所がわからない。
もちろん葵さんに尋ねたら案内してくれると思うが、初めてきた街なので少しだけ1人で探索してみたいと思ってしまった。
以前サバルさんに冒険者ギルドで宿屋などの紹介をしてくれると聞いていたが、今まで散々な目にあってきたギルドに足は向かなかった。
よし、誰かに尋ねてみよう。
「おばあちゃん、串焼き一本ちょうだい!」
沢山ある屋台から感で選んでみる。
「あいよ。」
お金を渡しておばあちゃんから串焼きを一本受け取る。
何の肉かわからないが匂いは美味しそうだ。ビビりながら先端をちょっとだけかじる。
うん、柔らかくて美味しい。
少し香辛料が強くて辛いが、全然期待してなかったので美味しく感じた。
「おばあちゃん、コレ美味しいね。
ちなみに何の肉?」
聞くのは怖かったが気になったので尋ねてみる。
「知らなくて食べたのかい?
好き嫌いとかあるんだから、先に何の肉か聞かないと。
これはビックバードっていう鳥型モンスターの肉だよ。
柔らかくて美味しいだろ?」
良かった、鳥の肉で‥。
変なモンスターだったら吐き出してたかも。
「はい、とっても美味しいです!」
今度はかぶりついて大口で肉を食べる。
「それは良かった。
それより、アンタ冒険者かい?」
屋台のおばあちゃんが尋ねてくる。
「はい、でもまだランクは全然低いですけどね。」
口元を拭きながら答える。
「大きい声では言えないけど‥
この国を早く出て行った方がいいよ。」
屋台のおばあちゃんが近づてくると耳打ちしてくる。
「え?何でですか?
今日来たばっかりですよ。」
宿屋で待機と言われいるので出て行く事はないのだが‥。
「この国はお終いさ。
神様の罰が当たったらしい。」
屋台のおばあちゃんが真剣な表情で噂を教えてくれるのであった。