王都
馬車の中は微妙な空気であった。
その理由は斗馬が不機嫌であったからだ。
パトラ王女が何度も話し掛けるが一言二言喋ると会話が止まってしまう。
だったらリアとレアに盛り上げて欲しいと考えたが、2人は訓練以外話題がないようで全くの役立たずであった。
居心地の悪い時間が続く中、王都が近づいてくる。
パトラ王女は焦っていた。
父親に斗馬を紹介する前に仲良くなって褒めて貰いたかったからだ。
だが、無情にも時間は過ぎていく。
そんな時、王都から早馬がやってくるのであった。
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馬車の中からでは分からないが早馬からの知らせは悪い内容のようだ。
外の騎士たちが騒ぎ出している。
それから数分後、クロスが扉をノックする。
リアが扉を開けるとあきらかにようすのおかしいクロスが入ってくる。
そしてクロスの口から帝国で起きている事が知らされる。
神像の涙、国境の壁、さらには王が倒れたという情報だ。
王が倒れたと聞いてパトラ王女は動揺する。パトラ王女が物心ついた頃から一度も病気をした事がない父親が倒れたのだ。
「急いで戻らないと‥」
動揺したパトラ王女はここで大きなミスをする。
「大変申し訳ないのですが、急ぎ王城に戻ることになりました。トウマ様には馬車を降りていただき、城下町の宿屋にてお待ちください。後で迎えに行きますので。」
当初の目的である斗馬を馬車から降ろし、パトラ王女は父親の元に向かうのであった。