周辺国1
エルフside
ウノア(エルフの国)の長老会議は荒れていた。
「王よ、帝国の横暴を許すのか!」
1人の長老がエルフの王を責める。
「言葉が過ぎるぞ!」
エルフの王を責める者を隣の者が注意する。
「止めるな!
我が村の者が帝国に拉致されたのだぞ!
いつまで我が国は帝国に対して及び腰なのだ?
エルフの誇りはどうした?
同胞を助けたくないのか?」
村の長であるエルフが無礼承知でエルフの王に問う。
皆の注目が集まる中、エルフの王が決断する。
「囚われた同胞を救う為、帝国に対して宣戦布告を行う。
正義は我らにあるぞ!」
帝国によって行われたエルフ狩りが発端となり、戦争が始まろうとしていた。
獣人side
ガデル(獣人の国)にも動きがあった。
王の元に諜報部隊から知らせが届く。
「エルフ達が動くぞ。
これは好機だ!
帝国とまともにやりあったら国が滅びかねない。
だが、エルフ国と一緒なら不可能ではない。
後は他の国と連携すれば‥。」
王の声も弾む。
「帝国を打倒しましょう!」
側近が声をあげるが獣人の王の笑顔がくもる。
「先に言っておくが、帝国は打倒しない。」
王の言葉に側近達が驚いた顔になる。
「ん?
そんなに不満か?
いいか、帝国を打倒してその後はどうする?
帝国の民を全員殺すのか?
殺さずとも誰が面倒を見るのか?
まさか帝国の民を奴隷にしようと思っているのか?
我が国は帝国とは違う!
尊厳を傷つけるような真似は絶対にしない!
今一度伝えておく。
我らの目的は帝国に奪われた我が領土の奪還だ。
それ以上は望まない。
過ぎた財を手に入れると必ず内輪で争いが起こるぞ。
いいか!
我らは帝国とは違う!」
王の言葉にほぼ全員が頷いたが数名は冷ややかな目でそれを見ていた。
グレイン王国side
「フエルテ王!
帝国に動きがあったようです!」
フエルテ王に知らせが届く。
「‥‥‥‥」
特に反応はない。
「フエルテ王?」
「‥‥‥どうでもいい。」
グレイン王国は静観する事になる。
ローラ王国side
国王の元に宰相のアレクが近づいてくる。
旧知の中である国王には確信があった。
「何か面白い事が起こるのか?」
国王がアレクより先に口を開く。
「何故わかったのですか?」
アレクが驚いた顔になる。
「ふふ
長い付き合いだからな。」
国王がニヤリと笑う。
「きも。」
アレクはドン引きであった。