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皮肉

 帝国のお姫様から子種が欲しいと言われ、困惑する俺。


「子種を何に使うつもりですか?

 錬金術とかですか?」


 どうしてと帝国を信じられないので絶対に良くない事に使われると思ってしまっていた。


「プッ」


 俺の言葉を聞いてパトラ王女が淑女らしくない音をもらす。


「ちょっと笑わせないで下さい。

 さすがに真面目な顔が持ちませんよ。」


 パトラ王女と二人の女性騎士も口元を抑えて笑いを堪えていた。


「別に笑わかせるつもりはありませんよ!」


 なんだか馬鹿にされていると感じて語尾が強くなる。


「別に怒らせるつもりはないのですがね。

 大変失礼しました。」


 パトラ王女が頭を下げる。

 それを見て遅れて女性騎士二人も頭を下げてくる。


「それでは、真剣にお答えしますね。

 子種については、使徒様のお子が欲しいのでそれに使います。

 なので錬金術や薬などに使うつもりはありません。」


 パトラ王女が真剣に答えてくれる。


「う〜ん、ここまでトウマ様に疑われるとは思いませんでした。

 ちょっとショックです。」


 パトラ王女が哀しそうな表情になるが、俺は何とも思わなかった。

 なぜなら帝国に対する疑念が増すばかりだからだ。


「正直、子種については嫌です。

 まぁ、どうせ人質を使って無理矢理にでも奪うのでしょうがね。」


 帝国に対する気持ちが、普段言わないような皮肉まで口にさせるのであった。

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