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名前
外にいるクロスより、目の前のパトラ王女の方が話せるような気がしてきた。
ここは帝国の目的を聞きだそうと話しかける事にする。
「パトラ王女様に質問をしても宜しいでしょうか?」
俺の言葉にパトラ王女の表情がくもる。
ん?
これは質問は厳しいかな。
「パトラ。」
「私のことは、パトラとお呼びください。」
パトラ王女は真剣な表情だ。
これは試されているのか?
俺が呼び捨てすると、左右の女性騎士に取り押さえさせる気なのか?
「パトラ!」
俺が名前を呼ばない事にパトラ王女の機嫌がさらに悪くなる。
俺は左右の女性騎士を観察する。
特に殺気などはなさそうだ。
どちらかというと困った顔のようにも見える。
「パトラ!!」
ヤバい、これ以上怒らせるわけにはいかないようだ。
「では、パトラ王女。」
「王女」だけはつけされてもらう。
「パトラ!!」
お姫様は納得がいかないようだ。
「パトラ様。」
「パトラ!!」
駄目なようだ。
俺は覚悟を決める。
「パトラ。」
俺は小さな声で王女の名前を呼ぶ。
「はい。」
パトラ王女は満面の笑みを浮かべる。