不機嫌
「ほら、あ〜ん。」
屋台で買った何の肉か分からない串焼きを俺に食べさせようと口元に寄せてくるアリア。
こういう時って少し冷えた串だったりするじゃん。でも目の前の串焼きは湯気が出てじゅうじゅう音を出している。
決して口に入れられる温度ではない事がわかっていた。
しかし、何処となく機嫌の悪いアリアは俺が拒否する事を許さない。
再度、食べるように勧めてくる。
「食べて。
あ〜ん。」
よし、覚悟を決めよう!
俺は意を決して串焼きにかぶりつく。
あつ!
唇を火傷した。
さらに肉を噛むと肉汁が口の中に広がっていく。(悪い意味で)
あっ、口の中も舌も火傷を負ってしまう。
あ〜これは口内炎が出来るやつだ。
気持ち泣きながら何かの肉を食べていく。
うん、肉汁は凄いけど正直あまり美味しくない。
「どう?
美味しいだろ?」
NOと言える雰囲気ではない。
俺は違いのわかる男だと。
ここは無難な答えを‥。
「お、美味しいよ。」
「じゃぁ、もう一個。」
俺がこたえるとすぐに串焼きをもう一つ口元に近づけてくる。
げっ、これもまだ湯気が出てるじゃん!
もちろん口には出しません。
「ありがとう!
では、頂きます。」
火傷するのがわかってる状態で串焼きにかぶりつく。
案の定、また火傷を負ってしまう。
文句を言ってやりたいが、三姉妹の件で怒らせてしまった手前そうもいかず‥。
「頑張れ!」
「男だろ?」
「食え!」
アリアを怒らせる原因を作った三姉妹に怒りを覚えるのであった。




