465/628
錯覚
泡銭が手に入ったので、久しぶりに豪華な食事をとって意気揚々と職場に戻ると‥。
冒険者ギルドの建物の中に立派な木が生えていた。
バタン
私は一度建物の外に出て、深呼吸をする。
いやいやいや、ないってこんな事。
一応、建物を間違っていないか周囲を確認する。
うん、間違ってない。
錯覚じゃなかった‥。
あっ、急に引越ししたとか!
あり得ない妄想をしつつ、看板を確認する。
うん、見間違う事もなく冒険者ギルドだ。
「はぁ〜。」
ため息しか出ない。
ギィィ
ゆっくり扉を開ける。
ドン!!
自己主張強めの木が冒険者ギルドの中に生えている。
うん、立派な木だ。
「ハハハハハ
立派すぎて天井ぶち破ってるよ!」
もう笑うしかないや。
重い足で木に近づく。
ほんと立派な木だと感心する。
ちょっと蔓がウネウネしてるのが気になるけど‥。
「げっ!」
思わず叫び声をあげてしまう。
冒険者ギルド内に生えた木に見知った三姉妹が磔になっていたのである。




