無力化
完全に木に固定された三姉妹は何とか脱出しようと必死に抵抗するが、蔓が身体中に巻きついているので身動き出来なくなっていた。
それでも最後の抵抗して魔法を唱えようとするが、何も具現化しない。火属性の初歩の初歩であるファイアボールですら現れない。
ここにきて、三姉妹はその異常性に気がつく。
「ま、魔力がなくなってる‥。」
「あっ、私のも‥。」
「こんな事初めて!
クソッ!離せぇ!」
魔力切れによって無力化され、三姉妹にもう抵抗する力は残っていなかった。
三姉妹の様子を見ていたアリアが口を開く。
「エルダートレントの力はどうだ?
お主らの魔力を吸ってどんどん成長しておる。
本来であれば魔力が枯渇して死ぬのだが、お主らはさすがに回復が早いからの。
まぁ、ギリギリ生きていけるだろう。
そこでおとなしく一生をおくるとよい。」
アリアがカッコよくて決めている。
『いや、ココは冒険者ギルド本部の中だからね。このまま放置するわけないよね?』
など野暮な事は言わない。
とにかくお礼を言わない。
「アリア、ありがとう!」
俺からアリアを抱きしめて、お礼を伝える。
プイ
アリアがそっぽを向く。
????
何か気に食わなかったのか?
何だろう‥。
抱きしめるだけでは足りないのか‥。
そう結論を出した俺はもう一度やり直す。
「アリア、ありがとう!」
ギュッと抱きしめると、アリアにキスをする。
あっ、アリアの舌が入ってきた‥。
どうやら正解のようだった。




