昔話
エルジーに頭を鷲掴みにされている。
くそ〜ロリの癖に何て力なんだ!
頭蓋骨が軋んでいる。
「痛い痛い痛い!」
最初は耐えてみせようかと思ったが、そんなに甘くはなかった。自身の頭蓋骨が軋む音を聞いたら恥も外聞もない。即座に痛い事を口にする。
「話聞きたいよね?」
この期に及んで、俺の返事を聞く気だ。
「き、聞かせて下さい。」
身の安全の為、保身にはしる俺であった。
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「アレはそう‥
まだ私達が普通の魔法使いだったころの話ですぅ。」
エルジーがまるで舞台女優のように立ち上がってポーズを決めながら語りだす。
「ちゃんと腕試しにダンジョンに潜ろうってなった時、それを見つけたわ。」
またポーズを変える。
ポーズ変えないと話せないのかなぁ‥。
「隠し部屋で見つけた謎のポーション‥。
色は真っ黒で神秘的だったわ。」
またまたポーズを変えながら話すエルジー。
真っ黒なポーションが神秘的?
俺とは感性が違うようだ。
俺なら間違ってもダンジョンで拾った真っ黒なポーションは飲まない。
あり得ない。
「そのポーションをロージーお姉様が飲んでしまったわ。
後で聞いた話だと、実はその時既にロージーお姉様は身体に変化があったみたいなの。
でもお姉様はその事を秘密にして、私達にもポーションを飲むように勧めたわ‥。
その時私達は純粋無垢だったので疑う事もなく飲んでしまった。
そして三人とも呪われてしまったの‥。」
バン
エルジーは床に倒れると手を空中に伸ばすと何かに懇願するようなポーズをとる。
「何て可哀想な私達‥。」
涙を流し始める。
‥‥‥‥
1ミリも同情する余地が見つからなかった。
無理やり飲まされた等ではなく、ダンジョンで見つけた怪しげなポーションを自ら飲んだのだ。
オロオロ泣きだすエルジーを冷めた目で見つめるのであった。




