単純
何とか逃げ出したいが魔女っ子に掴まれていて身動きが取れない。
そうこうしていると他の魔女っ子もやってくる。
「ちょっと、おねぇばっかりズルい!」
「ほんと、お姉ちゃんズルいですぅ!
他の2人に責められる真ん中。
おっ、これはチャンスかもしれない。ここはおとなしく様子を見ることにする。
「別にズルくない!!
私は長女だから問題ないのだ。」
長女がドヤ顔で腕を腰に当ててポーズをとる。
あっ、俺を掴む手が外れた。
すぐに逃げたいとろだが、ここはあえて逃げないでおく。焦りは禁物だ。
「ちょっと早く生まれたぐらいで威張りやがってよ!!」
次女が長女に反抗する。あまりの勢いに三女が止めに入る。
魔女三姉妹の修羅場である。
よし!この隙にバスに逃げ込もう。
ここからバスまでは20メートルぐらい離れている。
ダッシュすれば間に合いそうだが、相手は魔女だ。魔法を使われたら手も足も出ない。
ここはさらに保険をかけておく必要が出てきた。
俺はで出来るだけ気配を殺して、魔女っ子達から距離をとる。
ここで音を出したりするヘマはしない。
抜き足差し足でバスを目指す。
三姉妹はいい感じに争ってくれている。
バスまであと数歩の距離に近づくとやっと魔女っ子達が俺に気がつく。
ココでは慌てる事はない。
あえてゆっくり振り返り魔女っ子の注意を引く。
そして別の方向を指差すと‥
「あれは何だ?」
古典的な注意を引く方法を試す。
「「「え、何?」」」
魔女っ子姉妹は全員、俺が指差した方向に注意を向ける。
それを確認すると俺はそそくさとバスに乗り込むのであった。
後から魔女っ子達がギャーギャー何かを言っていたが、完全無視する。
さぁ、バスに乗り込めばこっちのものだ。
俺はマイクを握ると一度入ってみたかったセリフを吐く。
「adiós」
その後はバスを飛ばして王都に戻るのであった。




