切り替え
王様とフェリス王女は結構長い時間泣いていた。
空気をよんだのか周りにいた人達はいつのまにか消えてしまった。
暇なのか例のスナイパーは何度か俺のお尻を痛みのない銃弾で狙撃していた。
暇なの?
暇つぶしにお尻を撃たないで!
何度かジェスチャーで伝えたが無視されてしまった。
その後、泣き止んだ王様が近付いてくる。
「ヨシ、結婚式をあげよう。」
キリッとした表情でとんでもない発言をぶちかます。
「いや、ヨシじゃないから。
何ですぐに結婚式になるの?」
いきなり真面目な顔になったかと思ったら‥
その切り替えの速さは賞賛に値するよ。
「それは‥
めでたい事なので早めにと思って‥」
王様の言葉は歯切れが悪かった。
すると俺の背後から声が聞こえてくる。
「どうせ、気が変わらないか不安で急いだのでしょう。」
ん?
先程までのフェリス王女の口調と違っていた。
この感じは最初にちょっかいかけてきた人物なのかもしれない。
「でも、お父様。
この方は逃げたりしませんよ。
ずっとこの地にとどまって幸せな家庭を築いてくれます。」
何かを悟ったような顔で語るフェリス王女。
「いや、ずっとこの地にとどまるとか出来ませんから。」
一応反論はしておくのであった。