ズレ
カタパルトで発射され、Gを感じたかと思うと数分後には止まっていた。
え?ついたの?
発射のショックに耐えられるようにガラスは全てシャッターのような物で覆われていて辺りが見えない。
念の為、ナビの画面を確認すると目的地であるグレイン王国の王都ヴェルダッドのすぐ横に自分を指すアイコンが点滅していた。
発射時にあれだけGを感じたのに着地した瞬間は車内に衝撃は伝わってこなかった。
「目的地だよね?」
念の為、ナビゲーションに聞いてみる。
「はい。
‥‥‥
目的地周辺です。
音声案内を停止します。」
ナビゲーションは返事をした後にナビ特有のメッセージを伝えてくる。
話は逸れるが、目的地周辺で音声案内を停止されても困る事あるよね。
最後まで面倒見てよ!って思った事が多々ある。
田舎なら目的地周辺に何もなければ分かりやすいが、都会だと「いや、どのビルやねん!」って突っ込んだことが多かった。
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「視界をクリアにします。」
ナビゲーションが言葉を発すると窓にあっまシャッターが開き始める。
開きはじめは砂塵で良く見えなかったが、完全に開くタイミングで周辺を見ることが出来るのであった。
う〜ん、目の錯覚でなければ王都の城壁が全て壊れている。
「まさか、着地の衝撃で壊れたとかないよね?」
一応念の為ナビゲーションに確認する。
「‥‥‥‥」
ナビゲーションは答えない。
「着地点、ズレたの?」
「そ、想定内のズレです。」
あっ、開き直りやがった。
「何か不満ですか?
コレぐらいのズレで男がピーピー喚かないの。
もっと大人になりなさい。」
ナビゲーションの物言いにブチ切れるのであった。