イライラ
斗馬がブレーキに興奮し、他の機能がないか座席を調べていた時、突然バスのナビゲーションがアラームを鳴らしだす。
突然のアラームに焦っていると、ナビゲーションから聴きなれない声が聞こえだす。
「落ち着いて下さい。
このバスの緊急事態ではありません。」
良く聞く機会音声であった。
「え?
このバスじゃなかったら何処?
まさか、グレイン王国じゃないよね?」
このバスで緊急事態でなくて一瞬安堵したが、本来の目的地がピンチなら本末転倒だ。
「正解!」
ナビゲーションがクイズの司会者のような口調で答える。
「いや、何が『正解!』だよ!
ふざけてるのか!」
イラってきたので少し声が大きくなる。
「ハイ、ふざけてますよ。
もう童貞じゃないんだから、そんなに慌てないの?
もう、せっかちさんなんだから‥」
プチッ
頭の血管が切れた音がした‥
反射的にタッチパネルを殴ろうとして6点式シートベルトに邪魔される。
「ごめんなさい。」
ナビゲーションに謝ってくる。
「次はないからな!」
イライラするので声を荒げてしまう。
「で、グレイン王国がどんなピンチなんだ?」
落ち着こうとするが言葉が荒くなる。
「王都がピンチですね。
予測ではあと3時間ぐらいで陥落すると思われます。
モンスターもかなり興奮状態なので住民は全て食べられるかと。
女性は繁殖用に残す事も稀にありますが、興奮状態なので性欲よりも食欲が勝ると思います。」
ナビゲーションの言葉に思考が停止する。
「え?
まだ1日は猶予があったはず‥」
確か予測では2日って聞いてたので信じられなかった。
「いいですか?
予測は未定であって、決定ではありません。
早まる事もあり得ます。」
いちいちイラっとさせてくるナビゲーションであった。
「早まるにしても、あと3時間は短すぎだろ?
何でそんな事に‥」
突然の時短に声が小さくなるのであった。