感動
葵さん以外は2階に移動したので、今は2人っきりだ。
先程感極まってしまったのがまだ残っているようで葵さんの事が愛おしくてたまらなかった。
これって吊り橋効果的なものかな。
頭では冷静なつもりであったが、胸の鼓動が高鳴って抑えきれない。
葵さんは全てを悟ったような顔をしている。
何か少し悔しい気持ちになったが、今はその場の勢いに乗っかろうと思う。
葵さんが俺を迎え入れようと両手を広げる。
俺ははやる気持ちを抑えながらゆっくり葵さんを目指す。
意地でもゆっくり歩もうとするがもう気持ちを抑えきれない。
駆け出すと葵さんを強く抱きしめる。
力が強過ぎたのか葵さんが小さな悲鳴をあげるが、嫌がっている様子はない。
葵さんも力一杯抱きしめてくれる。
う゛
かなり強い力だが、それが逆に嬉しかった。
ずっとこのままでいたかったが、外ではバスをゴブリン達が武器や魔法で攻撃を加えている。
もちろん女神様の加護のあるバスには傷一つつける事は出来ない。
「落ち着きましたか?」
耳元で聞こえる葵さんの声にドキッとしてしまうが、冷静を装う。
「うん。
‥‥‥会えて嬉しいよ。」
吊り橋効果なのか素直な気持ちが口からもれる。
「え?
そんな事いいますか?
あ〜それは反則ですよ。
我慢出来なくなるじゃないですか‥。
せっかく大人な雰囲気を出してたのに‥。
責任とって下さいね。」
葵さんの目は先程までの優しい目から妖艶な目に変わるのであった。