ぐうの音
1秒でも早く向かいたい時にバスが動かなくなるとは‥。
途方にくれる俺にNo.9さんが声をかける。
「まぁ、起きてしまった事は仕方ありません。
バスが修復すれば、すぐ動けますから。
とりあえず、街に向かいませんか?」
No.9さんの言っている事はおおむね理解 は出来るが、釈然としていなかった。
俺がNo.9さんの話にのってこないので表情を曇らせる。
「あ〜、面倒な性格ですね。
さっぱり割り切って下さい。
いいですか?
そもそも貴方が急いでいるのに街の人を助けるとか言い出すから、こんな事になったのですよ。
自覚ありますか?」
No.9さんの鋭い目が俺をとらえる。
ぐうの音も出ない‥。
言い訳しょうがない。
自らの選択で招いた困難に呆然としていると背後から声がかかる。
「そろそろトウマを責めるのはやめてもらいたい。
まぁ、少しは薬になるかと黙っておったが‥‥いい加減耳に障る。」
アリアが恐ろしく冷たい声でNo.9さんを牽制する。
「‥‥‥」
アリアの言葉にNo.9さんが推し黙る。
「そもそも街がある道を通ったのが問題じゃろ?
葵であったら、そこまで考慮すると思うがの‥。
お前さん、もしかして無能か?」
痛烈なアリアの批判に終始無表情だったNo.9さんの眉がピクリと反応する。
冷静を装っているが、怒っているのが誰の目にも明らかであった。