代償
LRを意識しながらハンドルを握りしめると、たしかに何処ぞのゲーム用のハンドルのような突起物を感じる事が出来た。
う〜ん、正直解せない。
長年ハンドルを握ってきたが、LRなんて無かったと思うけど‥。
いまいち納得出来ないが、ここは集中して握りしめるのであった。
LRボタンの効果なのか、バスはまるで何かに衝突したかのようにいきなり止まってみせる。
まるで物理法則を無視したかのような止まり方であった。
バスは止まったが中にいる人は止まる事が出来ず、前のめりになったがシートベルトのおかげで何とか止まる事が出来た。
とりあえず現状の確認を行うことにする。
まずバスの停車位置だが、LRボタンのおかげでテレビドラマのような、あと数センチ的な状況ではなく街の数十メートル手前で止まっている。
この時、安堵しようかと思った瞬間にバス内にアラームが鳴り響く。
音の感じから緊急時に鳴るものだと分かった。
状況が分からないのでなんびNo.9さんに聴いてみる。
「緊急停止でかなりバスに負荷がかかったようです。
この分だと数時間は動けないかもしれませんね。」
No.9さんから衝撃の事実を伝えられる。
「え?
それって、やばくない?」
思わず考えた事がポロッと出てしまう。
「はい、ヤバイです。
でも、私は説明しましたよ。
LRボタンを使うと一定期間動けなくなると‥。
まさか聞いてませんでしたか?」
う゛
全然聞いてなかった‥。
慌てていたから聞きそびれたかも‥。
あぁ!
少しでも早く向かわないといけないのに‥。
俺は頭を抱えるのであった。