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決まり2
俺は安堵したが、ソフィアさんの泣きそうな顔を見て胸が少し痛んだ。
「実はまだこの国に決まりがありまして‥。」
ルナ様が少し言いにくそうだ。
「まだあるのですか?」
「はい‥‥実は王族が求婚する場合、相手に短剣を渡す事になっています。」
短剣?
そういえば、さっきルナ様に短剣を渡されたような‥。
俺の手元にはばっちり短剣が握られていた。
「知らなかったので‥。」
思わず言葉がもれる。
ソフィアさんが残念そうに伝えてくる。
「王族の求婚については、知らなかった、他国などの例外は認められません。短剣を受け取ってしまわれたので、断る事は出来ません。」
衝撃の事実を聞かされて固まる俺。
「ちょっと待って下さい!俺は他国の人間ですよ?実はとっても悪い人間で、皆さんを騙そうとしているかもしれません。」
「そうなんですか?」
ルナ様がニッコリ笑いながら聞いてくる。
「た、例えばの話です‥。」
「では、問題ないですね♡」
ルナ様の眩しいぐらいの笑顔を見て、説得が難しいと思ってしまった。