暴走2
「お金だったら俺にも多少はあるので‥」
トウマと呼ばれる彼が荷物からお金を探し始める。
あ〜、この子良い子だ。
イスカ父は初めて会った彼を気に入ってしまう。
ヨシ、こうなったら本気で落とそう!
イスカ父は決意を新たにする。
「申し訳ないが、お金は受け取れない。
これも古い習わしなんだよ。
恩義のある君に渡せる物がない。
しかし、我が家には一つだけ君に渡せるものがあるんだ‥。」
イスカ父が真剣な表情で斗馬を見る。
そんなイスカ父の迫力に斗馬は息をのむ。
「私達夫婦の宝である娘を託したい。」
good job!
イスカとイスカ母は父に賞賛を贈る。
任せる、渡す、あげる‥などではなく、あえて託すという言い方にするとは‥。
これだと断りづらくなる。
ここにかてイスカとイスカ母の父に対する好感度は爆上がりだ。
「いや、託したいと言われても‥。
そもそもイスカさんとはまだ出会ったばっかりでして‥。」
トウマが難色を示す。
しかし、イスカ父はそれを許さない。
「出会った時間などは関係ないのでは?
そこのアリアさん?でしたか、彼女とも長い年月は過ごしていませんよね?
だったら娘にもチャンスはありますよね?
別に結婚しなくてもいいですよ。
貴方の側にいさせてくれるなら‥。」
うまい!
これは断りづらい!
もう拍手したくなるレベルだよ。
イスカ母は夫に抱きつきたくなるのを我慢する。
彼の事だ、一緒にいるなら結婚すると言い出すだろう。
イスカ父はそこまでよんでいた。
「ちなみに貴方の元に行けないのであれば、娘は他のオッサンに嫁ぐ事になると思います。」
ここまでするのか!?
イスカとイスカ母は父に恐怖まで感じていたのであった。