言い訳
走行中、いきなりナビにwarningの赤文字が表示される。
一瞬何か事故でも起こしたのかと焦ったが
どうやら車内で問題が起こったようだった。
とにかくバスを停めて対応する事にする。
この時から嫌な予感がしていた‥。
通路を進むと床にキキとララが倒れていた。
ビックリして2人に近寄ると、特に外傷はなく痺れているようだった。
何故に?と不思議に思っていると背後から葵さんに声をかけられる。
「この2人は車内で問題を起こしたのでオートセキュリティが働いたようです。」
この時、葵さんの声が冷たく感じた。
またこの2人か‥。
「で、問題って?」
聞きたくなかったがそう言う訳にはいかないので尋ねてみる。
「ミー様を襲おうとしたようです。」
「はぁ?」
葵さんの言葉の意味を理解出来なくて間抜けな声がでてしまう。
そして、段々と理解していき‥怒りでキキの胸ぐらを掴むのであった。
痺れた上、俺に胸ぐらを掴まれた事でキキは苦しそうにしている。
「な、何でそんな事した!!」
思わず声に力が入る。
「だってしょうがないでしょ!
ソトの街に行ったら、どうせ私達を衛兵に突き出すでしょ!
その前にこのチビを人質に逃げようとしたのよ!!」
言ってる意味がわからなかった。
「衛兵に突き出すとは言ってないですよね。
助力を頼めとは言いましたが‥。」
キキに説明しながら、何で理解してもらえなかったのか不思議に思っていた。
「はん!
そんなの信じるわけないでしょ!
世の中、信じられるのは金だけ。
お前らみたいに恵まれた人間はわからないのよ!!」
目の前でテレビの悪役が吐きそうなセリフを聞いて怒りや哀しみの感情が俺の中で渦巻くのであった。