旅の目的
「バ、バレてしまったのなら仕方ありませんね。
そう、私がこの国の内務大臣の娘のビクトリアよ!」
ビクトリアがドヤ顔で凄む。
いや、その言い回しは変なおじさんのやつだよ‥。
おかしくて密かに笑いをこらえる。
ここで一つ疑問が頭に浮かんだので尋ねる事にする。
「内務大臣の娘さんが何でサムさんと一緒に行動しているのですか?」
俺の質問にビクトリアの表情が曇る。
ん?
何か地雷でも踏んだかな?
「すみません!
何か事情があるんですよね?
無理に話さなくてもいいですよ。」
言いにくそうなのでフォローを入れる。
「わ、笑わないと約束してくれますか?」
ビクトリアが真剣な表情で伺ってくる。
「もちろん、笑いません!
約束します。」
ここは真摯に応えよう。
「じ、実は‥
私の旅の目的は‥
‥
‥
食べ歩きです‥。」
ビクトリアがスカートの裾をモジモジしながら顔を赤くして教えてくれた。
え?
お嬢様が食べ歩き??
ヤバイ、マジで笑いそう。
駄目だ駄目だ。
笑ったら失礼だろ。
俺は密かに唇を噛んで痛みで笑いを堪える。
アリア、イスカ、サバルも今回は空気をよんで笑わなかったようだ。
安心していると真横から笑い声が聞こえだす。
「プッ。
クスクス‥。
お嬢様が食べ歩きだなんて‥。
アハハハハハ。
ウケます!」
葵さんが涙目になりながら笑い転げるのであった。