商人
「グッジョブです!」
葵さんが指を立てて褒めてくれる。
いや、褒められても‥。
ただ盗賊を轢いただけだけどね。
「盗賊の反応は消えてます。」
死んでないよね?
葵さんの言い方が微妙に物騒で心配になってしまう。
「とりあえず怪我人がいないか確認に降りるよ。」
俺はシートベルトを外してバスから降りる事にする。
ちらっとアリア達を見ると3人ともスヤスヤ眠っていた。
盗賊を轢いた時に結構大きな音したよね?
いろいろな意味で三人の今後を心配するのであった。
バスから降りて馬車に近づく。
護衛の冒険者は死んではいないが怪我をしている。
葵さんに頼んで応急処置をしてもらう。
その間に馬車にいる商人に会いに行く。
馬車からテンプレのような恰幅の良い人が降りてくる。
怪我はないようだ。
「君が助けてくれてのか?
ありがとう。
助かったよ。」
商人は俺の手を握ってお礼を言ってくる。
良かった、マトモそうな人だ。
テンプレだと横暴な感じの商人とか出てきそうだけどね。
死者も出なくてホッとしているとその雰囲気を破壊するような声が響き渡る。
「ちょっと、私のこと忘れてません?」
若い女性の声だ。
何か怒っている感じがして、嫌な予感がするのであった。