フラグは立たせない
馬車の中ではかなり言い争っていたが、結論が出たのか急に静かになった。
馬車の扉が開くと、メイドさんに手を引かれながら綺麗なドレスを着た女性が降りてきた。
身長は150センチぐらいで金髪を腰ぐらいまで伸ばしている。色白で目は大きくて女優さんみたいに綺麗でスタイルも良い。身に纏っているオーラが一般人とは全然違っている。
馬車の造りを見ても只者ではないと思ったけど、女性が身につけているドレスが物語に出てくる様な豪華な物だったので高貴な人物だと確信した。
早くココを立ち去らないと面倒ごとに巻き込まれるはず。
「危ないところを助けて頂き、ありがとうございます。私はローラ王国第三王女のルナ・アヴ・ローラと申します。」
「斗馬さん、どうするんですか!この人王女ですよ!絶対に何かに巻き込まれますよ。」
「大丈夫。バスの外に出なければ問題ないはず!」
「それでいきましょう!」
葵さんと内々で話をつけてバスから出ない事を決める。
すると王女様が口を開く。
「助けて頂いたのに申し訳ございませんが、怪我人が出ています。手持ちの薬草は全て使ってしまいました。重ね重ね申し訳ございませんが、薬草を譲ってもらえないでしょうか?」
王女様が泣きそうな表情をしたかと思うと頭を下げる。
メイドの女性が慌てて止めようとするが王女様は頭を上げようとしなかった。