表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俳句~2021~  作者: 天やん
3/3

そして終盤

・初夢が染み入る煙草左肺


・電車からみる景色が全てだ


・床軋む建付けの悪さも明けの春


・右腕に貴方の歯型冬の朝


・病室の窓に紅葉絵末期がん


・クリスマス川面の月も独りで居る


・独り寝は石油ストーブの音がする


・東尋坊並ぶ孤児の初日出


・ただ一歩あと一歩行く息白し


・来た道も行く道もあり通夜は冬


・忘年会天井の染みは百八


・働き蟻待つ信号の冬夕焼


・小夜時雨俺のごみ捨ての時にこそ降る


・終電を逃して今日も死に近し


・冬の朝こたつの母の死期近し


・目覚ましの冬空暗し妻の嚊


・目覚ましの鳴る空暗し妻の嚊


・我が正義知らぬ弱者の冬隣


・メリーゴーランド乗り過ごし冬夕焼


・「泣き虫.com」冴え冴えな僕ら


・大晦日父母遠く夢にいる


・「日常」が記録となれど日常す


・独り酒名月が昇りて沈み


・長雨やてるてるぼうずが家に三つ


・シケモクがくゆるや一人神渡し


・落ち鮎でありたし早期退職〈リタイア〉肩叩き


・天井が低くなりける選挙かな


・ミントティーの午後妻を待つ冬はじめ


・老犬の唸りのごと行く救急車


・「特別」になりたし三浪冬隣


・秋風や自律神経出張中


・秋空は青し辞表を十破る


・秋雨も恋に破れて降るか


・秋空と会えない距離ほど恋をする


・占いをしても私は秋雲


・星月夜シケモクの日に眩し


・「配慮」した、社会は一人になった


・「 」秋は行く


・「愚行権」チケット握り走る秋


・コロナ禍に子の顔忘るる白秋


・背くらべの傷を撫で待つ帰省かな


・残像の君よ金木犀ばかり


・性的消費海馬の閨の星月夜


・行く秋や辞表に一筆呪詛を付け


・火葬場の煙や台風の目へと


・空き缶を放る軌跡の名月や


・雨の降る秋夜の底にある独り


・名月や巡り巡って死者がいる


・秋夜風染む迷子となった三十路


・副反応呻きビールがすすむ秋


・秋桜や鬼畜米英の河川敷


・老人ホーム生き続けて秋霖


・「星月夜」雨降る窓に秋彼岸


・偶像にバツ印フェミニズムは冬


・テレビは二つ一つ家のコタツ


・秋雨の下独り正しき傘色


・「さよなら」の意味知らず振る手は春寒


・鈴虫の籠と庇で月見る夜


・ふり返る花野におりし我が母よ


・「多様性」パラはひそりと秋近し


・明日はなき我が身思えば秋涼し


・生きるのに当たり障りのない残暑


・薬指日焼けがあなたの証明


・「冥福を」SNSへビルの淵


・夕顔やよれた白シャツ硫黄色


・あの日は残暑畳川の字扇風機


・精霊馬乗りたし五十路職は無し


・「過去はいつから?」吾子の目に終戦の日


・雨音が蝉時雨となり夕暮れ


・父母よ夕焼けが美しとLINE


・深淵を覗いて海月なるあの娘


・夏雲や人間性を捨てる旅


・振り返れば貴方の居ない酒涙雨


・出来ぞこないの夢が今日は金メダル


・SNS『TRAIN-TRAIN』聴く短夜


・七色を混ぜた絵の具が「正しさ」と「きれいなもの」の終着駅


・青白き肌ばかり鏡夏休み


・「正しさ」の絵の具や黒の地平線


・かくれんぼ最後の子の追憶


・辞表をば片手にヒーロー梅雨曇


・ノーマスク雷様達が咳をする


・わかれ雨中指立ててさよならを


・短冊に何も書けずに社会人


・梅雨曇り織姫彦星のLINE


・濁流が通りし龍が這いし梅雨


・非正規もいつかきっととアルタイル


・都議選もモルモットたる都民かな


・蝉時雨あの娘一人が遠くなり


・カーネーション無縁墓にまた一輪


・水子たち笹舟は遠く遠く


・精神科来月もきっと迎え梅雨


・ロングヘアーボブにした日の月涼し


・破れたる初恋作り雨の虹


・五月雨を待ちてあの娘の傘隠す


・寝汗拭く夜はまだ明けないでいる


・×印つける日記帳の青春


・コロナより人怖しビル街の月


・「愛して」が聞こえなくなり春嵐


・改めて吐きそうになる妻の性


・夜桜を照らす千の星も独り


・四畳一間猫の恋の流刑地


・反差別清き心ぞ万愚節


・「多様性」吊られし春の「普通」達


・趣味無くぶらり残業後の花見


・SNS片道切符の月の道


・不快なもの消せば夜が広がった


・名も無き花として咲けど彼も人


・おはじきす吾子の写真見て深酔い

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ