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俳句~2021~  作者: 天やん
1/3

おおよそ前半

・夏隣チーズバーガー二個が愛


・フェミニズム桜一つを発禁す


・夢という空き缶積んで花筏


・肌色恋しキャンパスノートには春空


・多目的トイレにツバメの子らの生


・通学路ぽつんと旅人春嵐


・行く春に右も左も惑う日々


・安っちい言葉桜散るラブホ街


・行く春やネットの果てに孤独する


・行く春や孤独な列の始発駅


・殴り返った血に行く春忘るる


・卒業式あなたへ向けた笑みは銃


・ララバイから旅立つ日の蜃気楼


・探してもあの娘の影なき蜃気楼


・春春春春春あの娘はまだ床


・春荒れに狂っちまった風見鶏


・春荒れにわきまえない都会が空虚


・祖母の味思い出せぬがおこわかな


・電脳少女桜の夢見て駆ける


・桜屑あの娘の頭に一つ


・偽物を羽織る雛菊旗艦店


・春風に心が折れる音がした


・恋の道 返らぬ誰何 行く春や


・葉桜になり満開になった星屑


・星屑を蹴って二十二時のあくび


・あの人のいない机が始業式


・飛行機が過ぎる桜吹雪の影


・車椅子熱海の向こう花曇り


・人誑しのハンカチ飛ぶ春荒れ


・桜まじ三途の子らのブルーシート


・桜まじ檸檬の香りが海岸線


・歳時記をめくりて三十路過ぎる春


・「無駄もいいね」と君ベッド横の春眠


・磨りガラス通せば満開八重桜


・ソーラーパネル地球の色が乾きけり


・ソーラーパネル崩れて影に草萌ゆる


・改札で手を振る笑顔四月馬鹿


・おはようエイプリルフールだからグッバイ


・桜吹雪あの娘の影だけ残る


・赤き傘桜並木に一つ行く


・靴を脱ぎ桜吹くまま街をゆく


・一年生社会に出でて花疲れ


・花曇りの地球ふわっと自転す


・花曇りの向こうで呼吸のように社会する


・さみしさを並べ本棚梅雨籠り


・解放された日の煙草霞む月


・春嵐「正しさ」の傘をただ叩く


・朧夜や日記の音が響きけり


・言○狩○魔○狩○のごと多○性


・三月走って走って誰そ彼


・落椿学べば憎しフェミニズム


・残業洗濯一回星朧


・SNSそして社会は春泥


・春夕誰か燃やせば社会学


・宝島渡る背中に行く春や


・猫の恋の横道右手に煙草


・私の性犬としてくれ春の宵


・西陽射す仏間三畳彼岸過ぎ


・春雨の降る分だけを愛しむ


・散歩した春を見つけた自炊した


・人権を市役所で買った古草


・死は斜向いトラックは霞を越す


・午後五時の凍れる校舎春夕


・包丁で休み文句を練る四月


・西陽射す仏壇の間や彼岸入り


・開花宣言す彼は行方不明


・ラジオから開花宣言空高し


・左向き脳が溺れて散る桜


・第二ボタン一つゴミ箱にいる


・橋だけが二人の道なの朧月


・あの娘の影ステップ踏んで梅の花


・梅林の骸となって空は青


・あの日から空白なのさ交換日記


・風吹きて梅の精らと戯れるなり


・匿名も承認欲求纏う春


・春色にピンクをあてて旅支度


・隣人を叩けども食卓には冷や飯


・卒業式校門過ぎて走馬灯


・右肩に抱く日常暖かし


・東北忌白鳥万羽里帰り


・東北忌終わらせまいと言う世間


・夢に迷う三十路のベース春夕


・反差別赤鬼が泣いた節分夜


・去年エンガチョ卒業はコロナ


・マフラーをほどいて今日は春となり


・春夕べ二人居た樹海のベンツ


・首に縄掛けぽっと息はく夕べ


・思い出の底が破れて箱は空


・白鳥帰る夕べ君は居る


・麦酒缶崩して帰る白鳥や


・手を伸ばせば届いたかも春の月


・帰り道角を曲がらず春の夕


・手の甲の血管透かせば春の空


・こたつ布団干して我らが啓蟄


・春の夜あの娘の手はただ温し


・春夕がらんどうなる我が家かな


・缶酎ハイ三本積みて春の宵


・登下校あの娘の隣春浅し


・水子。ひな壇のみと嗤う妻


・シケモクのあの娘が腹撫で流し雛


・煙草二本灰にしては独りが春


・「二月が逃げた」くしゃみして投網投げ


・我をなぜ笑い咲くなり寒桜


・得意ごと隣人見れば辞める春


・好きなこと忘れて今が三十路の春


・SNS踊らば踊れ春の宵


・春の雨流せよ痛み我が人生


・パラソルが雲の切れ間に飛んで虹


・恨めども戻らぬ青春花疲れ


・早春や回りまわって今がある


・確定申告書のレモン汁や夜明け前


・花火の輪郭なぞれど産まれぬ子


・早春の満月伸びた吾子の影


・早春のカクテル一つ緑色


・ウィスキーダブル胃の腑へ春の宵


・ウィスキー一杯流して春の宵


・冬夕焼長き影のあの子は暗し


・鈍色の寒さたゆたう月輪


・浅春の夢に釣りし太公望


・心臓を削る音する冬大工


・赤インクLove書く字がヘタれけり


・不老不死夢見てビール梅の下


・温泉に落ちるか青き冬の空


・捨て犬が匂い嗅ぐなり蕗のとう


・バス待つベンチ手袋へと風花


・オレンジの稜線祖母の灰白し


・如月や「同左同上」日記帳


・麗らかや一杯の茶にハイボール


・マラソンを見る教科書に春塵


・如月や夕暮れに転ぶ空缶


・空白が明け暮れるなり如月


・夢見し少女安酒の如月


・ストロング缶寒し独りが冬の夜


・冬の底水面に浮かぶ居待月


・塞げども過去の足音春隣


・サラリーマン蹴った小石が冴える月


・春の雨二つのかばんに傘一つ


・傘一つしとど濡れける梅の花


・コーラ飲みあの娘の足蹴るこたつかな


・愛猫と猫柳とが風にゆれ


・「まだ帰らんか」汽笛に母ごつ冬


・シャボン玉虹色に弾ける冬日


・ソロキャンに焼肉湖岸の白富士


・蝋梅や川面を鏡と咲きにけり


・蝋梅や我が歳祝いまた咲きつ


・薄氷の音はひとりぼっちの夜


・心の薄氷ノックするストレス


・エスコート妻に差し出す手荒れかな


・冬花火川面の鏡に落ちにけり


・自衛官訓練帰りの針供養


・水仙や君が手折りし夕暮れ


・呆け爺の全けき破顔冬の月


・冬に咲く向日葵君のブーケかな


・青空へエール吹き吹きて春一番


・かったりぃ空白人生冬の月


・冴え返る絡まる指や影一つ


・吾子ならず妻ぞ今やと鬼やらい


・蟻ん子がぞろと出でたる春隣


・凍解はいつかいつかとキリギリス


・冬三日月泣きて煙草を吸いし父


・ビル街を人往く夕べ春寒し


・我が春や小説一つの文化祭


・春立や三十年を迷いけり


・何者にもなれず雪はただ深し


・とおり雨福良雀と一人おり


・瑠璃色の海月が浮かぶ寒空や


・冬月や口の端上がるあの娘かな


・満月と知らず歩きスマホに雪


・空を飛ぶ夢見ていつかの風花


・風花や屋上に靴並びけり


・母の味とおく敵わぬ雑煮かな


・午前9時背広の雪なかブランコ


・水面をば鏡とするか雪木立


・北風が寒しと燗酒とおでん


・そっと降る雪の染みたる恋文よ


・本に落つ紅葉が栞今日は立つ


・枯れ果てた紅葉が栞と本に落ち


・沈む陽に妻と子の影伸びにけり


・別れ話す寒き夜の群青


・鴉羽雪しんしんと空に跳ねる


・日記の音がする肺が凍みる夜


・蟻どものテレワーク蟻どもや飢え


・蟻どもや夢見て千里雪中行


・別れを告げたとき君と凍て雲


・成人の日酒を重ねた十年後


・泥雪の溶けぬ脳みそ認知症


・淡雪を散らす爪先我は女子


・霜焼けさする買えぬクリームを少し


・豆一つやるべ寒雀コロナ禍や


・白人は撃たれ飛びよる寒鴉


・故郷や胃の腑の惜しむ逆帰省


・母の笑む遺影に線香初日の出


・くたびれて一人で見る初夢


・ふぐ鍋をつつく妻の口もふぐ


・空き缶と二人が夕焼け寝正月


・「明けまして」煙草一本電話口


・欠伸する妻も二度見や初日の出


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