表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

4 堂間と坂本の選択


香織の提案で、神経衰弱のように全ての札を裏向きに並べ、その中から一枚を選び、そこに書かれている都市伝説について各自再調査してくる事になった。

香織は、カルタをとにかく使いたくて、というか使わないと気がすまないみたいで、適当に言ったようだった。例え適当に言ったんだとしても、その提案は、なかなか良い提案に思えた。


私は密かに霊斗先輩の反応が心配だった。しかし、無事参加する事になった。

その諦めたような顔が、やはり気にはなったが。


「じゃ、部長として、ここは俺から引くぞ」

部長として、とか言っているが、きっと自分が一番に引きたいだけなんだろう、堂間部長は。

しばらく手をうろうろさせていたが、やがて一枚を捲った。


「これは……【口裂け女】、だな。」


誰が見てもそうだ。耳まで裂けた口の、悲しそうな表情の女が書かれている。

私は、マスクをつけていない事に、少し違和感を覚えた。

………でもこれはカルタなのだ。マスクで隠してしまうと分かりにくくなる。そういうものなのだろう。

というかさすが部長。こんなメジャーどころを引いてくるなんて。ある意味空気が読めている。


「つまらん、もう一回引くぞ!!」

怒り気味に、そう言う部長。


「駄目ですよ部長!!ルールを破らないで下さい!!」

「そうですよ、そんな事をしたら面白くなくなるじゃないですか」

私と香織が言うと、それでももう一度引くか迷ったようだが、しぶしぶそれについて調べる事を認めた。


「まぁそう落ち込むなよ堂間。【口裂け女】だって、もう一回調べてみれば何か新しい発見があるかもしれないだろ?……………次は僕が引こう」

坂本先輩が一枚選び、捲る。


「何ですか?コレ?」

香織が聞く。聞かれた坂本先輩も、分からないようだ。

もちろん私も分からない。


書かれているのは血の海。隣りに岩が突き立っている。

そこに、一人の少年が立ち尽くしている。

「これは地獄……かしら。」

斉藤先輩が言う。


「でも、「と」ですよ?このカルタ」

カルタの左上を指差しながら、私は言った。

一体なんだろうか、これは。


「おそらく、【トミノの地獄】だろう」

と、霊斗先輩が言った。

トミノの地獄?何だろう、それは。


「知らないのか?」

意外そうに、霊斗先輩は、坂本先輩に聞いた。

坂本先輩なら知っていて当たり前だ、と言わんばかりに。


「知らないな」


「そうか、なら悪い事はいわない。これについて調べるのは止めておけ。危険すぎる」


「お前今日おかしいぞ?結局このカルタだって何にも無かったんだし、気にし過ぎだって」


「違う!!このカルタがどうとかいう問題じゃない。【トミノの地獄】は本当にやばいから止めておけ!!………特にお前みたいな性格の奴にはな。悪い事は言わないからもう一度引き直せ!!」

凄い剣幕の霊斗先輩に気圧され、カルタを戻そうとする坂本先輩。

私と香織も、何も言えないでいたが、それを止めたのは部長だった。


「駄目だ。一度引いたものは絶対だ!!例外は認めない!!部長命令だ!!」

さっき戻そうとした人間の発言とは思えない。

が、ともあれ、坂本先輩のカルタは【トミノの地獄】に決まった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ