表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

3 都市伝説カルタ

「私はあんまり調べられなかったんですけど、代わりにこんなものを持ってきました」

じゃーん、と言いながら、机の上に何かを置く香織。それが机の上に出た瞬間、霊斗先輩が、びく、と反応した。

どうしたんだろう。

気にはなったが、それより今は目の前のものが何か、だ。

何だろう、トランプ、かな?

………本人に聞くのが一番いいだろう。

「ねぇ香織。これ、何?」


「【都市伝説カルタ】だよ」


カルタらしい。

それも都市伝説の。

都市伝説って、そんなに種類があるのかな。「ん」とかどうするんだろう。

ま、見てみれば分かるか。よく見れば包装がしてある。香織もまだ開けてないらしい。

「開けてみてよ、香織。」


「そうだね。」

カルタを手に取ろうとした香織の手を、誰かの手が横から掴んだ。


「ど、どうしたんですか、霊斗先輩!!」

阻んだのは、霊斗先輩だった。

香織が驚いて手を引っ込める。霊斗先輩も手を離した。


「そのカルタ、誰からもらった?」

霊斗先輩が、焦ったように言う。

さっきから、どうしたのだろう。様子がおかしい。


「もらったんじゃないですよ、買ったんです」


「どっちでもいい、誰から買ったんだ?」


「誰って……そんなの分かりませんけど、帰り道に露天商がいたんで、珍しいなーと思って覗いてたら、これがあったから。だから、ちょうどいいと思って買ったんです」


「駄目だ。それを開けちゃ駄目だ!!」


「おい!!ちょっと落ちつけ霊斗!!どうしたんだ!!お前らしくも無い!!」

堂間部長が慌てて止める。本当にどうしたというのだろう。


「もー、大丈夫ですって。こう見えても私霊感強いんですよ?このカルタからは、特に何も感じないし、大丈夫です、って」

「あ、ちょっと」

霊斗先輩があんなに必死になっていたのがどうしても気になって、私は香織を止めようとした。

が、それよりも早く香織は包装を解き、カルタを取り出した。


思わず身構えるが、やはり何も起こらない。

爆弾でも仕掛けられているのでは、と思ったが、勘繰り過ぎだったみたいだ。

きっと霊斗先輩の勘違いか何かだろう。


霊斗先輩は、それを確認すると、それまで部長の腕を振り解こうとしていたのが嘘のように、途端に大人しくなった。

………諦めたようなその表情が、やっぱりちょっとだけ気になった。


「あれ!!何よコレ!!不良品じゃない!!」

カルタを取り出し、開いて確認していた香織が、素っ頓狂な声を出した。


「ん、どうしたの?香織さん」

と、坂本先輩が聞く。


「あ、坂本先輩、ちょっと見て下さいよコレ!!」


「どれどれ、あーこれは酷いね」


「ですよねー」


「どうしたんだ?」

もう安全と判断したのだろう。霊斗君を放すと、部長が二人に近付いた。


「見て下さい、コレ。読み札を入れ忘れてるんです!!」

私も部長の後ろから覗き込んでみる。

確かにそこには、おどろおどろしい絵札しか入っていなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ