魔王の作戦
「…これで」
「魔法少女共…覚悟しとけ」
◆◆◆
「…っ」
なんだか物音がして…起きてみたらこれ。
そとには色んな人が吊るされてる…
でも死んではないみたい───
これは────映像?
本当に、吊るされてるわけでは───ない?
「きき…これ」
「…これって、ほうき?」
「うん」
シファから渡されたのは…棒の部分は空色──まるで空を映したかのような綺麗な空色。
ほうきのふさふさの部分になる前の所にはリボンがはめ込まれ───
先端の部分には桜が付いている────
かわいらしいほうき。
「これで、飛べるの?」
「うん…普通に「ほうきよ、飛びなさい!」で飛べる」
「…ほうきよ…飛びなさいっ」
少しグラグラ揺れる───けど、慣れてくると、綺麗に飛べる。
『シファ…ゆきちゃんに』
『分かった──』
そうして、私はゆきちゃんに連絡をとった───。
◆◆◆
「ききちゃんっ!無事だったんだね!」
「うん、ゆきちゃんこそ…でも、これって誰の仕業なのかな───」
私達は…連絡をとって待ち合わせ場所を決めて…そこで会った。
「んー…魔王?でもあいつ弱そうだったし…こんなこと出来ないかな──」
「俺様が弱いィ?随分と舐めてくれたものだなッ!!」
「魔王…!」
「スイーツパラダイスっ!」
「スケッチパーティ!」
私達は即座に戦闘の体制になり───
攻撃を仕掛けはじめた。
◆◆◆
私───まきはマカロンゲートを設置し──
ゆき───みきは魔王を縛り付け──
「えいっ!」
マカロンゲートから飛び出して魔王にパンチ&キック!!
「…っ……そんなっ…!」
そう───魔王には効かなかった。
思ったより、長い戦いになりそうだ。
◆◆◆
ルラside
宙に独り───浮かぶ少女。
背中には立派な羽を生やし──
銀色のロングヘアは風でふわふわとなびき──
頭にのせた黒色の大きなリボンもまた、ふわりふわりとなびき──
紫色の瞳───くるくると巻かれたまつげ───
真っ白な服に───腰にリボンを巻いて─…
光希達を、眺めるその少女は──ルラ。
彼女は異世界人であり──魔法少女である。
最強種の頂点…天族。
最強族で二番目に強い竜族。
最強種で魔法が得意な精霊族。
最強種の中で一番不思議な霊族。
彼女はそんな、最強種の1種…天族だ。
「あらあら…苦戦しているようですわね…ですが、私の力は必要ありませんね。本当に危ない時に入ることに致しましょう…」
「きゃああぁぁぁっ!」
「あの子は幽霊が苦手なのね…それを魔王も面白がっちゃってるわ。怖がらせるだけじゃなくて攻撃しないといけないのにね……少し、手をかそうかしら」
「ファイナリング・エンジェリール」
「後は頑張ってくださいね…この世界の魔法少女さん」
◆◆◆
光希side
「え?幽霊が…消えた?」
「もしかして、他にも───」
「ききちゃん!ぼーっとしないで!今は撃退を最優先に考えないと…」
「うん、そうだよね…」
私は呪文を唱えて…魔王を縛り付ける。
アイスを作り出し…つらら状にして、魔王の周りに漂わせ…動けないようにする。
手を凍らせて…魔王にパンチを加える。
「今だよっ」
「うん…っ!ピュリケーションシー…」
「あ…あの子は…」
私は…不思議な女の子を見つけ、呪文を唱えるのをやめてしまい…
その隙に魔王は氷を溶かし、脱出し───
「覚えてろよ!」
という、悪者の在り来りなセリフを吐き捨て、去っていった。
「逃がしちゃった…」
「ううん、撃退できただけでいいんだよ…ほら、街の人も戻ってきた!」
「うん…そうだね……」
「あれ?どうしたの?」
「出来るなら…魔王も、倒したくない。みんな仲良く、平和に暮らしたいんだ…」
「ん?今…なんて?」
「ゆき〜っ」
「ごめん…またね!」