8 満月照らす夜
満月照らすす夜。平原で獲物を探してそいつにあった。
「おい」
見た目は髭面のオッサン。心底楽しそうにニヤリと笑っている。
「なんだ?」
「お前を待ってたんだよ。巷で話題の首狩り」
「??俺は晒しスレでそう呼ばれてんの?」
「そうそう。お前、首とか急所しか狙わないじゃん。だから首狩り」
「なるほど。で、何しに来たんだ?」
「俺はな、強いやつと殺し合いたいんだ。あの鍛冶場の爺さんに勝った男がどれほど強いのか知りたい」
「爺さんを知ってるってことはお前も刀使いか?」
「はっ刀なんてクソ喰らえだ。それに俺はこっちの方が好きだ」
負けたのかな。
やつはニヤっと笑いながら腰の直剣を抜く。飾りっけのない長剣。だが刀身は鈍く輝いており今手に入る中だとかなりいいものだろう。
「いいだろう?これ。兵士を殺してたらドロップしたんだ。さすがに本物の騎士様が持つものよりはグレードダウンしてるがそれでも強い」
「そうかい」
「勝っても負けても恨みっこ無しだ」
「いいから殺るぞ」
一直線、最短距離で踏み込み【一閃】。首を狙ったそれは今までなら確実に当たるはずだった。
だがあろう事かやつは高速で抜かれたそれを剣で意図も容易く防いだ。
「狙いが単純になんだよ!刀は」
まずい。仕切り直すために鳩尾に向かって蹴るが躱される。
「お返しだ」
今度はやつが切り返してくる。アクションスキルは使わず、ただ真正面からの振り下ろし。だが隙が少ない。AGIをあげてなきゃ切り捨てられてたな。牽制に投げナイフを数本なげながら下がる。当然のように防がれるがそれはいい。
「強いな」
「お前こそよく防ぐ。本当は最初の一振で決めるつもりだったんだぞ」
「そりゃ人を馬鹿にし過ぎだ」
お互い獰猛に笑う。ああ楽しい。奴の言う通り強いやつと殺し合うのはほんとに楽しい。
「本気出すか」
「今まで本気じゃなかったのかよ」
「ただの見栄だ。気にすんな」
刀を抜いた。抜刀には頼らない。こんなレベルのやつは抜き身で対応しないと死ぬ。俺は抜刀があんまり得意じゃないんだ。
「いくぞ」
下段に構え、フェイントを混ぜつつ切り上げる。
防がれるが気にせず追撃。鍔迫り合いに強引に持っていき、相手の剣を掴んで鳩尾を蹴り飛ばす。手が血まみれだが気にしない。
そのまま止まらず刀で喉を突く。
が、あいつは喉を狙う刀を体をわざと倒して躱し、体勢を崩した俺に向かって、片手で切り上げた。
初めて本格的に食らう痛み。
体が焼けるように痛く、倒れそうになるが意地でも踏み耐え、刀を振り下ろす。
しかしあいつは転がりながら避けた。迷わず鞘で殴打。顔にクリーンヒットする。それなりには効いただろう。
俺は残り5割。あいつは6割。ここで決めなければ負ける。苦痛に顔を歪めながら起き上がるアイツを見る。
「ふう...」
納刀。そして覚悟を決めた。
「これで最後だ」
「おう!いくぞ!」
「【一閃弐式】」「【クロススラッシュ】!」
瞬間。斜め十字に同時に切り込んだ長剣と居合切りが衝突。そして...
立っていたのはひとりの刀使いだった。
「【一閃弐式】。一閃の後にもう一振だ」
「ちっ強いな。お前名前なんだ?今度は一緒に狩りしようぜ」
「ツキハだ」
「おーけーツキハ。またやろうぜ」
オッサンが死ぬまで恐らくあと数秒。
隣で休んでるとフレンド申請が飛んできた。
「お、おう」
何故か俺は初めてのフレンドが出来た。