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こんな話が農業スレにある

全く本編に絡まなさそうな話を書きたかった

こんな話が農業スレにある。

PK達の蠱毒と化したβ鯖が実は農業をするには1番安全だ。というものだ。


まあ無論誰かが悪ふざけで言った冗談なのだが、それに本当に挑戦しようとしたバカは意外といる。


「って訳でな!俺は緩く農業してるんだよ!死ねっオラッ!」


現状手に入る鍬の中でも最高クラスの性能を誇るシュレッダーウルフの骨と牙を使った、物々しいデザインのウルフホウで畑泥棒を強引に耕す。


「ふぅ…誰だよβ鯖が1番安全とか言ったやつ」




GOFにおける農業システムは土の制作から害獣駆除まで色々あるが基本は栽培と品種改良だ。

とてもやることが多く大変なのだが無論リターンも小さくはない。

まず作る作物も物によってはバフ効果が付くものを作れる。

まだ誕生してないが、品種改良を続ければとんでもないものが生まれるだろう。

更に野菜は街でも結構売れたりする。

そして……商人では得られない特定のNPCからの信頼を得やすくなる。



特定のNPC──即ち村娘である。



このゲームのNPCは大概美男美女揃いなのだが素朴な感じの村娘スキーも意外と多く、そして大体の村娘は普通の方法だと信頼度を上げるのが何故かかなりキツい。

まあ、そんな理由からか一時期ものすごい農家が増えた。

そして最終的には他の職に帰るか、かわいい村娘より作物の品種改良に夢中になって我が子のように野菜を愛で始めるまでがオチである。

そんな訳で元出会い厨であった俺も今では立派な農家として野菜を愛で、自然を愛する男になったのだ。


「んーとアルフトマトとコルムトマトの雄しべと雌しべを使って……うん。この種を植えてみよう」


特性の肥料水を流し、温度を魔法で調整し、成長を見守る。

時間はだいたい5分で出来上がるのだが……。



10分後


おかしい。未だに花が咲かない。この種の植物は花を咲かして実を作るはずなのだが。


「まさかな」


葉をタップし調べるとそこには


『ロニエのトマト草』と記されている。


「これは…!新種だ!!すぐに報告せねば」


GOFにおける品種改良で誕生した新種には制作したプレイヤーの名前が付けられる。

ゲーム内でまだ10も作られていない新種の1つに自分の作物が加えられるのだ。

これほど嬉しいことも無い!!


だが、幸運とは不幸と同時に訪れるものらしい。


「お前!さっきは良くもやってくれたなこの農家風情が!!」


ぞろぞろと仲間を引き連れさっき殺したやつが現れる。


「農家……風情だと???お前がいつも食べてる野菜はどっから来たと思っんだこのタコ!」


「ンだとゴラ!俺の名前は白天高だ!タコじゃねぇよ」


「ハクテンコウ…あ、イカの名前かぁ」


ぷっとあっちの仲間から笑い声が漏れる。

β鯖のPKの9割はしょうもない人間だ。というかこの鯖の人間の沸点は大概低い。


「うるせぇ死ねえええ」


笑われキレて両手剣を抜き襲いかかるハクテンコウイカ。

紫に光る刀身からして【クロススラッシュ】を放つつもりだろう。

だが遅い。


「農家を…舐めんじゃねぇ!」


「ガッ」


鍬を高飛び棒のように地面に押し付け、空中でクルりと捻りながらイカの横顔に【スカイキック】をぶち込む。

そう。この鯖の人間は大概沸点が低い。

つまり俺も低いのだ。


我に帰った敵たちが剣を弓をと構えるが笑わせる。


「農家は…最強だ!!」


β鯖が農業をするに1番安全というのはつまり農家が強ければ動物だろうが人間だろうが勝てるという意味なのかも…しれない。



◇◇◇


「お、出来てる出来てる」


慎重に実を本体から採り、フレーバーテキストと効果を確認する。


『ロニエのトマト』

美味しそうに実った戦う農家ロニエの真っ赤なトマト。その赤い色は果たして血か栄養か

空腹値-7


「おい」


酷い言われようである。まあ先程あたりを血に染めてしまったのは間違いでは無いのだが。


「それはさておき。さて、今日も愛しのメナルちゃんに貢ぎに行きますか」


ちゃっちゃと農具をストレージに仕舞い、トラップを仕掛け、村に向かって歩き出す。


別に村娘を愛するのやめた訳ではないのだ。

というわけで一旦ここで断章は終わりです。本当は運営側の話も書きたかったけど力量不足でした。

あ、感想ポイントブックマークとかください。やる気になります

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