45 散歩
朝5時のログボまで昨日なのでセーフ。
おはようございます。
今日も秋のほのかに暖かい日差しが照らすいい朝で…す……いや昼じゃん。
ゴソゴソとベッドから抜け出し、下に降りると既に昼ごはんが用意されていた。
どうやら母は久々に出かけたらしい。
とりあえず用意されてた米と煮物を温め、食べる。
よく染みた大根とインゲンに人参の甘さが合わさりたまに混ざる糸こんと牛肉も美味しい。
さて、食べたがどうするか。今の時間は13時と少し。
すぐにログインしてもいいがたまには出かけるのもいいだろう。
久々に制服とパジャマ以外の物に袖を通し、ぶらりと街へ出かけた。
「まあ出かけたところで来るのは結局こういうところなんだがな」
ボソッと呟き目の前のよくある中古ゲームショップに入る。
ここは一見ただのチェーン店なんだが中身は…
「あークソガキか。相変わらず学校ではいじめられてるんかい?」
「ババアも相変わらず辛辣で酷いもんだ」
「そうかい」
この容赦ない年齢不詳の見た目、20代のババアはこの中古ゲームショップのオーナーであり、中身を全くの別物に変えた主である。
薄暗く狭い店内にこれでもかと大量のレトロゲーム(化石)やら古書やら小物が並び古めかしい演歌が流れる、もはや元のゲームショップの面影はどこにもない……。
多分初めてここに来た人は中抜きと思うんじゃないだろうか。
「んで今日は何を買いに来た」
「いや、冷やかし。最近はGOFに忙しいから他のゲーム出来ないんだわ」
「なんだそりゃ。……ああこの前買ってったMMOかい。なるほど。遂にクソガキのお眼鏡にかなうレベルのゲームがVRに出たのかい」
「そうそう。漬物石がおかげで最近は湯たんぽと化したよ」
「そりゃあよかった。んで何か買ってく?」
「いやうーん…。あ、なんかVRでオススメのゲームとかある?」
「VR?うちはほとんど古の携帯ゲームかそれ以上前の据え置きとかしかないからな。あるとしてもここの極小数ね」
ゴソゴソとレジ裏からボックスを取り出し、レジの上に置く。
どうせこんな店には物好きしか来ないからレジに置いてもいいらしい。
「極小数っていう割には色々あるな…。これVR最初期の体を動かしてやるやつじゃん。ブレードを使った音ゲーなのか。面白い」
「んじゃ決まったらいいな。私は本読んでる」
「あいよ」
さて、色々あるが………ん?
一つだけ、妙に高いやつがある。
名前は…THE・ケルディムゴアⅦ。ロボゲーらしく、血と硝煙の臭いがしそうなゲームだ。
例のシリーズの最新作らしいが………
「なあババア。このゲームなんでこんなに高いんだ?プレミア?」
「いーや別にそんなものじゃない。ただ4ヶ月前ぐらいに発売したからってだけだ」
それなら多分普通の棚にあるだろう。
「…ババアさてはこのゲーム個人的に買ってつまらなかったとかだな?」
「チッその通りだよ。私の期待してた程じゃなかったんだ。まあ薄々分かってはいたんだがね。というか操作が難しすぎるんだよ…。ババアがやるもんじゃないわい」
「んで腹いせに包装し直して高値で売るか」
「そういうこっだ。ま、お前さんならこのぐらいまで割引きしてもいいぞ?」
「そこまで落とすのかよ」
「在庫処分だ。持ってけ持ってけ」
その額は書かれた額の5分の1程度。これは買いだ。
「んじゃまた来い。今度はVRのゲームももう少しは入れといてやるから」
「ありがとよー」
さて、帰るか。このゲームはまた今度にでも開こう。
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「ただいまー」
「あ、遥おかえりー。いやー土曜は非番で助かったわ。明日もおやすみだしね!」
「………………」
「どうしたの黙って」
「……え?今日土曜日?」
「そうよ。あんた曜日感覚死んでんじゃないの?」
そりゃそうだ。そもそも朝起こされず昼間っから出かけられてる時点で気がつけよ俺!!!
「ありがとう!んじゃ夕飯前に呼んでくれ!」
「そういえば」
時間が止まった。
まずい。この声色の母はまずい。
「ハイ」
「来週再試って聞いたんだけど、勉強は進んでる?」
「イイカンジデスヨ?」
「それは嬉しいわ。それじゃあ、今から終わらせて来なさい。その代わり終われば今日は何時までやってもいいわよ」
「ははっ!ありがたき幸せ」
「はいはい早く行きなさい!」
この後の地獄を彼はまだ知らない
短くてすみません。元々は前回と繋げる予定だったんですけどさすがに長くなりすぎてね……。
ちなみに次回は5割出来てるんで多分今週には投稿出来ます
みんなもデモンエクスマキナをやろう




