40 ダンジョンと教会
日曜日中に投稿できたからセーフです。
あ、そういえば記念すべき投稿50話目です。
第1層はほとんどエントランスだけの無いに等しいエリアだった
第2層は単純に暗いだけの迷路だった
第3層。罠やモンスターハウスがポツポツとではじめ、ボスもそれなりには強くなった
そして……
3層の強くもないボスを蹴り殺し階段を降りた先の第4層は城…と表現すればいいのだろうか。
でかい門をくぐると突然天井が高く、いやに下低くなったというほうが正解か?
さっきまでとは明らかに違う。脳内の警戒スイッチのレベルが3つほど上がり、刀を握りながら慎重に周りを見ていく。
まず目を引くのはさっきより大きな門。ゾル○ィック家のアレを思い出す大きさをしており、押しても引いても開くことはなかった。
次に見つけたのは恐らくは流麗な彫刻が刻まれていたであろうボロボロの大きな柱達。刻まれた模様は潰れてほとんど見えないが何かを表していたのだろう。
そして全盛期は鏡のように輝いていたであろう割れた大理石の床と壁そのものに描かれたホコリだらけの壮大な壁画。
こっちは…っ勘を頼りに横に避け、ゴブリンを斬る。
「ギッ!?」
命中。だが、感触がおかしい。
よーく見るとボロボロの鎧を装備してる。
ゴブリンのクセに卑怯な…。
城と鎧…もしかしてここは元王城か?もう少し観察したいが、後ろから更にぞろぞろと追加で現れる。
ため息をつきながら刀を構えた。
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「これで最後かなっと」
最後の鎧ゴブリン(暫定)の鉄剣を半歩下がって避け、頭を輪切りにする。
お、なんかドロップした。鎧か
〈聖███教会の壊鎧〉
昔どこかの宗教の騎士の鎧だということだけがかろうじて分かるほどボロボロになった鎧。
何故宗教関連の鎧がでてきたんだ。よく分からないがとりあえずしまっておく。
さて、ゴブリンに邪魔されたが気になっていたコレ。
階段だ。
巨大な門の左右どちらの端にもあり、多分どっちかが正規ルートなのだろう。
多分見分けるヒントがそこらにあるんだろうが(恐らく壁画)めんどくさいから直感で右端の階段を降りた。
降りた先はエントランス…なんてものではなくカビ臭 い濡れた石畳の地下牢とでも言えばわかりやすいか。
とにかく薄暗く湿っていて上の神々しさまで感じる風景とは全く異なる景色が広がっている。
「さて、こっちが正解だったのかね」
警戒度はさっきより2ぐらい上げ、既に刀を抜いて歩き出す。
ガゴッ!
え?嫌な音が聞こえ立ち止まると目の前で風きり音が響く。
恐る恐る見ると飛んできたのはなんと矢ではなく鉈。しかも複数個。殺意高すぎるんとちゃいます?
1歩目から罠を踏み抜いてもう進みたくないが、後ろで轟音が鳴ってる辺りから察するにもう帰り道も残ってないだろう。
諦めて慎重に進むか…。
それから入り組んだ迷路やらギロチンやら床が回りだして入口に電撃が流れ出す金網デスマッチが唐突に始まったりしながらようやく最後の一本道だろう場所までたどり着いた。
一気に難易度が上がった。そう感じるのは今まで対人戦しかしてこなかったツケなのかあるいは。
それはそうと先の通路までの安全が確保されたの確認し、メモアプリに通路の図を書き記しながらそれでもなお慎重に歩く。どこかで休憩したいところだが…と言ってる傍から背後と前方にリポップしたゴブリンが一本道の道を挟み込み、襲いかかってくる。
複数回罠にかかったせいでHPが残り少なく、今更ながら型を水にしなかったことを後悔しつつ、鞘に指をかけ抜刀の体勢に入る。
まずは僅かに早い背後のゴブリンから。
むちゃくちゃに振られた鉄剣より後に、だがしかし速く抜刀し縦に輪を切るように切り裂く。そしてそのまま体を捻り前から来ていたゴブリンも同じように斬る。
汎用抜刀術【逆月】。
ダンジョンで抜刀レベルが上がり習得した技で前後に切るという結構使い勝手が悪い技だが、こういうときだと便利だ。
ピローン!
『〈憤怒の聖人人形〉をドロップしました』
〈憤怒の聖人人形〉
何かに憤る聖人の様子を模した人形。
ダンジョンからの帰還に使用する
………なんなんだこれは。怖いが帰還という言葉に目が行き恐る恐る実体化してみる。
(鬼のような形相だがなんか聖なる感じはする人形)
もう一度言う。なんなんだこれは…。
「っと今度はなんだ」
突然ウィンドウが立ち上がりチュートリアルが始まる。
『〜帰還方法に関するチュートリアル〜
やり方は簡単!あなたが手にしたのは憤怒なので怒りを込めてこの人形を叩きつけましょう!怒りが一定以上に達すると人形は破壊され10秒後スタート地点のAIの前に帰還します。ちなみに次回スタート地点は最後に帰還した層の入口となります
〜では良いダンジョンライフを!〜』
は?いや落ち着け、落ち着くんだ。
つまり緊急時とか急用が出来たときに素早く帰るためのアイテムってことでいいんだろう。だが…なんで怒りを込めてこんな高級そうな人形叩きつけなきゃいけないんだ…。
そもそもどうやって怒りを判定するのか気になるところとか気になるし、使ってみたいところだが今はまだ進むためアイテムメニューに仕舞い、ようやく見つけた階段を上がった。
階段を登った先に広がるのはやはり先程の城の中だ。
ただ、城の中といっても、枯れた草木や水の濁った池とかある辺りから察するにどうやら中庭だったらしい。広くもないが。
多分ちゃんとしてた頃は綺麗だっただろうがさほど興味もないため、順路的にあってるだろう閉まった扉を蹴破った。
「…なんじゃこりゃ」
光差し込むステンドグラスと男性の巨大な像。そしてその足元の横たわる大量の死体
まず目についたのはこれだ。
恐らく教会か何かだったのだろうか。
幸い敵もいなさそうだし気になった像の下の死体達を見に行く。
触った感触は石そのもので、気味悪いほど人間に似せて塗られただけの石像だろうか。
とはいえ悪趣味なことには変わりないが
次は…ん?これは本か。
『怪傑█████封印計画に関する報告書』
既に嫌な予感しかしない。
《理由》
あまりに危険すぎる為十二王が1人【怪傑█████】を永久封印することを十二王の円卓他メンバーが決定
《方法》
憤怒の使徒聖マグノリア教会に呼び出し、他王の協力の元地下へ監禁した。
そして██の末精神崩壊を誘発、███人分のマナを使用し、封印した。この際何名か石化が発症したが影響無し。
最後に封印の隠蔽の為地下へ埋没し上に偽の遺跡を用意し……
(ここから先は破れてたり掠れてたりして読めない)
本を閉じた。所々読めなかったりしたが、ちょっと吐きそうだし何より…
礼拝堂のような建物、聖騎士の鎧だった物、偶像。そしてこの本の内容。
つまりこのダンジョンは。あの石像の下の石の死体は
「そう。全て隠蔽とその犠牲者達だよ」
「は」
後ろから声が聞こえた瞬間脳より先に体が反応し振り向き【一閃】をする。
「落ち着け落ち着け。俺だよ」
その行動すら読んでいたかのようにダガーで刀を防いだのは
誰でもない高田馬場だった。
マナを吸われた人間はまるで石のように…。
そういえばそろそろ頭空っぽにしての戦闘とか見たくないです?




