3 多分最初にやる相手じゃない
今日2話目です
物音ひとつしない静かな場所で爺さんが刀を抜く音だけが響く。
「構えろ」
俺は肩の直剣を抜き、力を抜いて構える。
お互い喋らず構える。俺は無言のまま下から直剣で振り上げた。
それを躱した爺さんは刺突してくる。
勢いを利用して半身横に逸れるが、躱しきれず、脇腹が抉れた。
痛みを堪えながら振り上げた直剣を両手で持ち、振り下ろす。肩に掠ったが、ほとんどダメージは与えられ無かっただろう。反撃を食らう前にバックステップで下がる。
「爺さん強いな」
想像以上だった。まさか人間でなくてもここまで強いとは。
「ふん。まだまだ若造には負けんわ」
また突っ込む。上から振り下ろされた一撃は爺さんに防がれ、今度は爺さんが攻めてくる。
このままでは防戦一方になって恐らくどこかで防御しきれず負けてしまう。
が、2、3回本気で防御し、次の振り下ろされた刀を腕の力を入れずに受ける。
するとどうなるか?
簡単な話引っ張りあって片方離すのと同じことがおこる。変な体勢で振り下ろすことになった爺さんの腹に向かって蹴りを入れ、すぐさま倒れ込む爺さんの喉に直剣を当てた。
「..….俺の負けだ」
舌打ちしながら立ち上がり、爺さんは1度鍛冶場に戻っていく。
そこから1分もせずに刀と白いオーブを持って帰ってきた。
「約束の打刀とこれは俺の喉に剣を当てたご褒美みたいなものだ。『ジョブオーブ』、中身は武士だ。師匠から貰ったのだが俺には適正がなかったんだ。上手く使えよ」
爺さんから黒い鞘に収まった刀を貰う。
武器:打刀
遠い極東の武器。切れ味抜群で、鎧さえも切ってしまう。
刺突と斬撃に補正 耐久値:200
初期装備の直剣ですら500なのに、耐久値がかなり低めだ。そして渡されたオーブもこの場で使う。
《ジョブが剣士から武士に変更されました》
《オーブボーナススキルとして抜刀術、武士道【刀】、武道【和弓】の中から2つ選んでください》
和弓もあるらしいが抜刀術と武士道【刀】を選ぶ。
「刀は耐久値が低めだ。早めに修理にこい。あとそれはモンスターよりも対人戦の方が向いてる。上手く使え」
どうやら俺がPKやろうとしてることはバレてたらしい。
「最後にな、その刀1万ゴールドだ」
有り金も全部持ってかれた。
次からPKすると思います。