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少年は刀一本でPKになる  作者: 鳩乃蕃茄
PKのはじまりはじまり
39/79

33 冥界の神

死亡、床ペロ、ゲームオーバー...etcゲームにおいて様々な呼び方があるが、俺はGOFで初めて...VRで初めて死というもの体験した。


気持ち悪い浮遊感と自由に体を動かせないことから来るストレス、どう繕ってもいいものでは無い。


だが死ぬ直前にあった体中の激痛は消え、そこだけは嬉しかった。

と、そんなことを考えてるうちにどこかへたどり着いたらしい。


「はいはーいこんにちは〜私がこの世界最後の神様のヘルです☆」


どこか引っかかる発言はあるが、すっごい美しい神様が来たな。だが時間が時間故テンョンにはついていけないのだが


「はぁそうなんですね」


「おやあなたもしかして冥界は初めてですか?」


「冥界...?冥府ではないんですか?」


「冥府?ああ上の世界に昔あった施設ですか。ここは冥界。全てが滅んでも!決して消えることの無い終わりです。まあ私は優しいんで、あなた達勇士は復活させて上げますけどね☆通行料は貰いますけどぉ」


「通行料?」


「ああ、あなたの経験値とお布施をちょいとばか、し...あなたもの凄い人数殺してるわね」


「ええそういうプレイスタイルだったので」


「そう。まあそういうのもアリでしょう。私も大好きですそういうの。だけど、罪人には罪人らしく罰を与えなければなりません。それは古より決められてるルールです」


凄い嬉しそうに笑いながら言うことじゃないと思うんだが。


「なるほどよくわかりました。では何が下されるんですか?」


待ってましたとばかりにヘルが腕を振るうと真っ黒なナニカが体の周りに纏つく。


「それは悪しき魂の行く末の女王ヘル私の呪いでもあり祝福でもある加護。人を殺せば殺すほど力は強くなり殺せば殺すほど体は虚弱になっていく。さあ人殺しよ!我が子達よ!我を楽しませよ」


急にマジトーンになり、詠唱したかと思うと真っ黒なナニカは腕から足から頭から胸からと身体中に()()込んで行く。

途端にズンと立てないほど体が重くなり、左上のHPバーの上限がゴリゴリ減りだし…逆に身体には力が溢れ出した。


《女神ヘルの加護を獲得しました》


つまり殺せば殺すほどHP上限を犠牲に攻撃力を上昇するのか。面白い。存分に楽しもうじゃないか!


「ありがとうございます。我が神よ!ところで質問いいですか?」


「ええ構わないわ☆」


あ、戻った。


「では遠慮なく。なんでさっきから左向いて動かないんですか?」


そう。もの凄い気配を漂わせようとネタで笑おうと決してこちらをヘルは向かない。


「......」


「...」


「あなた、初めて死んだのよね?だったらおしえてあ、げ、る☆ここでは死者はゴミクズ同然だから媚びは売ったほうがいいわよ?」


周りの空気が物理的に-5度ぐらい下がったような雰囲気になりこころなしか、自分の魂の温度も下がる。


まさかの地雷かよ...。あーこれ多分長年色々あって拗らせた系か


「なるほど分かりました。非礼をお詫び申し上げます。ヘル様俺を復活させていただけないでしょうか?」


「よろしい☆じゃあ手数料として経験値とお布施貰ってくわね〜じゃあまたのお越しを待ってるわ〜」


その言葉と同時にヘルが指を振り、後ろから光が強かなってくる。


「死んでも行きませんよ!!!」


「いや死んだら行くのか」


だんだん光は強くなり、吸い込まれるように体の意識が薄れ始め、そして自分の意識すら薄れそして...







━━━━━━━










気がつくと、さっき死んだ道場の床に仰向けで倒れていた。

そーっと目を薄く開けると師匠があわあわと俺の周りをグルグルと回ってパニックになっていた。


「どうすればいいんじゃ...どうすればいいんじゃ...」


「師匠どうしたんですか?」


あえてなにもなかった風に聞いてみる。


「     」


「いやそんな化け物を見るような目で見ないでください。リスポーンしただけですよ」



白目剥いて師匠が倒れてしまった








〜閑話休題〜








お茶を飲み落ち着く。



「いやすまん。まさかワシに一撃入れられるとは思わなくてのぅ...リミッターが勝手に反応してもうた」


「リミッターなんてあるんですね」


「まあワシみたいな師匠系のNPCは強すぎるからのぅ...色々あってリミッター掛けられたのじゃ」


「なんか色々あるんですね」


「そんな感じじゃ」


「ところでなんで白目剥いて倒れたんです?復活したからですか?」


「いや復活自体はお主らプレイヤーならあるじゃろうし、別に驚かん。だがお主とんでもなくめんどくさいもの貰ってきたじゃろ」


「めんどくさいもの...?ああヘルの加護ですかね」


「───か」


一瞬。一瞬だけ師匠の顔に陰りが見えたが直ぐにそれは消えた。


「師匠?」


「いやなんでもない。じゃがその加護効果はどうせ人を殺めれば殺めるほど力が強くなるとか碌でもないものじゃろ」


「...よく分かりましたね」


「まあ昔からあのクソ女神はそういうのを与えてるからの」


「とりあえずはこれを生かして戦闘していきたいと思います」


「ま、それがよいじゃろうな」


さて、とりあえずこれを強化するために戦闘しに行くか。


「それじゃあ師匠また」


「だが、だがな馬鹿弟子よ。これだけは忘れてはならぬ。人を殺め過ぎた者はやがて人では無くなる。それは人を虫のように殺すようになる。それを人はこう呼ぶ」


またさっきみたいに陰りを見せた師匠が話し出す。まるで『見てきたかのように』


「それは...?」


「修羅。人でもなく魔物でもない者。人を殺しすぎたものの成れの果てじゃ。そしてそれはプレイヤーでさえ関係なく、()()


そんなものになるというのか


「……これはゲームじゃないですか。プレイヤーを殺したところでどうにも─」


頬に一筋の血が吹き出る。師匠が刀を振り抜いていた。剣筋が殺された時より早く、見えなかった。


「ゲームの中なら別に殺しても大丈夫だと?殺すのは別に体だけじゃない。心を殺すのだって出来る。例えば殺さないように皮だけ刀で削ぐ、まあそんな物騒な事じゃなくても理不尽に何回も屈辱的なことを言われながら殺されたら心すらも殺せるだろう」


確かな怒気を孕んだ言葉。


「……」


「分かったか?別に人を殺す方法はひとつじゃない。そしてどうあれ人を殺していることには違いない」


どうあれ人を殺している、か。そうだろう。死の恐怖は俺も味わったが到底耐えられるものじゃない。それだけで心が折れるやつもいる。


「だけど師匠。俺はそれでも続けます。例えそれが心すら殺すのだとしても俺には何がなんでも達成したい目的があります。いや出来ました」


修羅になると聞いてなお躊躇しない、薄ら暗いドロドロとした誰にも言えない目的が。


「......そうか。まあそうじゃろうな。それに目的が出来たのはいい事じゃ。この話は気にするでない。あとそのまたいつでも来い!待っとるぞ!」


少し悲しそうに師匠は笑っていた。

ヘルの加護が付く条件とその詳細。


加護条件:死亡する又はゲーム開始時から死なずに30人をキルする、闇ギルドに所属、レベル25以上、5Lv以上の格上(モンスターでも可)を倒し、死亡時に付与

が最速獲得条件です


加護詳細:メリット:プレイヤーをキルする度微弱だがSTR又はINT(高い方)の能力値が上昇する。ちなみにこの効果はキルし続けなければ2日で切れ、キルすれば効果終了は延長される。

デメリット:メリットだけを見るとぶっ壊れだが、その代償に最大HPがキルする度に2%減少し、ポーションや回復魔法などの回復効果も加護が発動してる最中50%しか効果しなくなる。(バフなどは除く)


余談ですが、条件が曖昧な時に掲示板やらT〇itterに流れ、一時期PKが増加するも条件が難しすぎることが判明しまたPKが減るという珍事も起きたとか起きなかったとか。


ちなみに主人公以外にβ鯖で10人ほど達成してます。

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