30 VS
「はて、さてどうしたものかね」
イキったソロプレイヤーを奇襲でぶっ殺しつつ、呟く。この鯖でソロでPKに突撃とか舐めてんのか。
一応名目上は同盟への誘いだが、恐らくは聖杯騎士団自体に誘いたいのだろう。クラン対抗の対人戦の話とかわざわざややこしくなるからそうでもなきゃ言うとは思わないし...。いや金羊毛とかめんどくさい人達多そうだしそっちも有り得るのかうーむ。そんなこんなで考え事やら性能の確認をしてたら翌日になってしまった。というわけで土曜日の深夜だ。
さてと、もうそろそろ帰るか...
「おいお前!」
なんか聞き覚えのある声がするとなぁまあ気のせいだろう。さっさとログアウトしよう。眠いんだ
「いや無視すんなよ!」
嫌々振り返ると結構前に戦ったハーレムパーティがいた、というか増えてるし。絶対中におっさんが1人くらいいるだろアレ
剣士に大斧持った戦士に魔法使いに弓にもう1人タンクか。バランス取れてて相手するのはめんどくさいな。
「あー、なんの用?」
「いや、その前より強くなった俺たちの力を見せてやる!第2エリアのボスまで倒したんだからな!」
そりゃ凄い俺はまだ第1エリアの一部のボスしか倒してない。
「凄いのはわかった。めんどくさいから帰っちゃダメか?」
「そりゃダメだよ!わざわざリベンジするために来たんだからな!」
「そりゃ大変なことで」
「うっせぇ!あーもういいから死ね!」
キレやすいとこは前と変わってないのかよ。
「【風】よ」
手に、足にと四肢の指先まで風が体を覆う。
せっかくなのでここで風ノ型について詳しく話しておこう。
この型は別に水ノ型のようにカウンターに特化してる訳でも、噂の火ノ型のように抜刀特化してる訳でもない。では何が優れてるかというと……。
「速いッ!」
まあ名前から予想できるが、風ノ型はスピードと手数特化だ。
[印数]と呼ばれる敵と斬り合うほど貯まる物を使って戦い、貯まれば貯まるほどアクションスキルの硬直とリキャストが短くなるという頭おかしい特性があるのだがまあデメリットもある。
常に攻撃力30%ダウンが戦闘終了まで付与され続けるのだ。その代わりAGIが[印数]に応じて上昇していく。
必然的に浅くなるがそこはまあキャラコンでカバーだ。
━━━━━━
解説を話してるうちにあちらの陣形が出来てたらしい。前とは違ってイキリ剣士...いやイキってないし主人公Aにしとくか。
前とは違って主人公A1人で攻め来なくなったな。
剣士のオネーサンが大盾と剣持ちでタンク、こっちに挑発?だかなんだかのスキルを使ってヘイトを集めて魔法、弓が叩き、剣士と戦士は隙を埋める。なるほどわかりやすい。
まあそういうことならこっちも色々使うだけだ。
仕込みのために盾役に近づき、まずは【一閃】。
「ッ!【ガード】!」
叫んだ瞬間盾が青く輝き、一閃を防ぐ。
防がれたとはいえ、発動したことには変わりないため、技の硬直は発生する。
そこを見逃すはずもなく...
「今です炎よ!【ファイヤーボール】!」
「うわ」
ギリギリ硬直切れで避け...
「.........【影縫い】」
「危ねぇ!」
正面から撃たれたはずの矢が避ける方向を先読みして背後から迫るが、転がるように避ける。弐式とかにしてたらもろ命中してたな。
というか抜刀のモーションに入った時点で盾役のやつ反応してくるのかよ。いいセンスしてるぜ。
躱したらとはいえ、隙があるには変わらなく、そこに遊撃の主人公Aと戦士が切りかかってくる。
むしろあっちから飛び込んでくるとは有難い。
戦士の斧を避け、剣士と一瞬だけ、斬り合い直ぐにバックステップで距離を取る。
なるほど、いい連携してるよ。だが、仕込みは済んでる。
再び、盾役の方に走り出す。そして構える盾役...
の横を走り抜け魔法使いの方に向かう。
「なんで!?」
「バカが教えるわけねーだろ」
まあ種を明かすほどのものもなく、実は挑発とかのヘイトを集める系は余程レベルの差がないと今のところは効き目が薄いのだ。
せいぜいなんか気になるなぁ程度。後半でどうなるかは知らんが。
そんなわけで無警戒で詠唱してた魔法使いで印数を貯める為にめった切りにする。
9、10、11うんまあ12ぐらいが限界か。死んじゃった。おっとすぐに剣士が切りかかってきた。
「お前許さねぇぞ」
「おいおい切れやすいのは変わらないのか?周りが見えなくなってるぞ。上ェ!」
「え」
「下だよ」
間抜けズラに後ろに倒れつつ足を顎目掛け振り上げる!クリーンヒットしたのか2割ぐらいHPが削れる。
【サマーソルト】うん。いい威力だ。
こんなことを解説してる暇はなかったようだ。
「【スイングクラッシュ】!」
叫び声と共に引き摺られた斧が火花を散らしながら振り上げられる。
「スイングするのに砕くのか...」
もちろん避け一択。
「......【ラピットアロー】」
数本の矢が下がった場所を先読みし放たれる。1本命中お見事。
見てから回避なんて割とできると豪語してたアホが知り合いにいたが、ほんと割とが限界だな。
VITにいくらか振ってるが、それでも1本で2割削るのかよ。さすが環境武器恐ろしい。
【風】のリキャスト20秒を稼ぐために適当に話を振るか。
「なあお前ら最近見なかったけどどこ行ってた?」
「......突然なんだ?」
「いやお前らぐらい強かったらゴブリン狩りにも参加してそうなものだと思って」
「実はあの後α鯖に移動したんだ。だけど強すぎてついていけなくてな...」
廃人鯖に行ってしまったのか。そりゃ災難な
「で色んな鯖巡ってまたこっちに移動してきたんだ」
「なるほどね。その弓使いの子は新しく拾ったの?」
「拾ったなんて酷いわ!ε鯖で一人でやってたのを見つけて彼が誘ったのよ!」
まるでなろうの主人公だな。羨ましいぜ。
「そりゃ凄い【風】よ」
相槌を打ちながら何でも無いように袖に隠した投げナイフを数本取り出しつつ近くにいた戦士に投擲。
どうやら油断してたらしく腹に命中!
そこに【一閃弐式】からの【桜花】でコンボを稼ぎながら切り捨て、速度そのままに主人公Aに近づく。
「ぐっ...【クロススラッシュ】!」
「【流刀】」
ピッタリとコンボが繋がり2発とも受け流し、先に硬直が解けたところを…
!?
「痛ってぇ!」
何かワイヤーの様な細い物で背中を斬られ強制的に中断させられてしまう。
「じゃますんなクソガキが」
わざわざ脆いのに突っ込んでくる馬鹿の喉を【死線突き】で刺し殺す。
どうやら矢と弓の弦を使って殺しに来てたようだ。そんなスキルもあるのかよ
「ボクは女装楽しんでただけなのに…」
なんかとんでもない爆弾を聞いた気もするが気のせいだろう。
「ちくしょう無茶しやがって!!【クレッセントストライク】!」
「バカ!クソ!」
白く輝く長剣を上段に構え、打算無しに主人公Aが突っ込んで来るがそれは
餌でしかない。
「【彼岸花】」
そのフレーズを持って貯めた[印数]30消費し刀は緑輝く慈悲の刃となる。
一撃。ASによって加速した剣より尚速く無造作に振られた刀が両腕を切り落とす。
二撃。返す刀で胴を割る。
三撃。カバーに来た女をただ横に凪ぎ腹を裂いた。
四撃。トドメとばかりに首を断つ。
そして出るはずのない血のような真っ赤なものが咲き誇る。まるで弔う彼岸花のように
(書いてなかったけど実は機関銃みたいなのが出たときに魔法も強化されてたんですよ...詠唱が1節で良くなるようになってました。まあクリ弓には勝てなかったんですが)




