イベントボス戦1
《これより【襲来!ゴブリンキング】を開始します》
若干の困惑の中始まったイベント。
だが、困惑してる暇はなく、遠くからゴブリンが迫って来ているのが見えてる。
まあこっちは相手をするつもりはないのでさっさと合流し、森を突っ切る。
━━━━別のプレイヤー達の視点━
くそっ!レッドどもが森に入ってしまった。追いかけたいが、目の前のゴブリンが邪魔で追いつけないか...
「おい!誰かレッドプレイヤー共を追いかけろ!キングだけ狩られるぞ!」
「ここからあいつら狙撃出来ないか?」
叫ぶと、横から別のプレイヤーが草むらに隠れる男に叫んだ。
「シモ・屁っ屁さん無理ですか?」
「あー遠すぎるねー。無理じゃないけど適正距離じゃないから威力がクソ落ちるよー」
無理らしい。こんなふざけた名前のクセに狙撃が鯖でも随一のシモ・屁っ屁でもか...
ムカついた腹いせに目の前のゴブリンを切り殺す。
「ギュェ?!」
「あらかた倒し終えましたがどうしますか?」
「レッドプレイヤー共を追っかけるぞ!!!」
まだ何匹か残っていたがまあそのぐらいなら俺らじゃなくても殺せるだろう。
そうして俺達はレッドプレイヤー共を追いかけた
━━━━ツキハ視点━
さて、我々はだいたい20人くらいで森の中に侵入した訳だが、森の中はやっぱりゴブリンが待ち構えていた。まあ皆隠れて無視してるがキツイことには変わりない。あ、目の前にアーチャー。さっさと接近し、ナイフで首に刺し込む。
「バックスタブ!ってね」
スキルとして存在してるんだが今までナイフ使ってこなかったから存在しないんだよなぁ。まあ奇襲で仕留められたからよしとしよう。
『こちら高田馬場。ツキハいまどこだ?』
『よくわからん』
『まあ今ゴブリンキングを発見したから急いでこいよ!お前の貢献度無くなるぞ!』
『マジか。急ぐわ』
少し遠くから激しい剣戟とぶつかり合い、叫び声が聞こえる。
どうやらすぐ近くまで来たらしい。急げ!!
森を進むと広い場所に出た。
「遅かったな!オラ!急げよ!」
「おう」
目の前を見る。
そこには3メートル近い巨体のゴブリンがいた。
ボロボロの鎧にマント。そして何より1.5メートルぐらいのバカでかい大剣。
どこか王の貫禄のある余裕でふてぶてしい表情。
そして傍には4体のゴブリンがいる。
名前は...《ゴブリンナイト》近衛兵的なやつか。あ、なんか全員後ろから数人に刺され屠られてる…。
あれがアサシンガチ勢か。怖い。
「フム、サラニフエタカ。オカゲデエサガフエタ」
「餌ねぇ。そりゃこっちこそ貢献度稼ぎのいい餌だ。いくぞ」
一気に接近し抜刀。【一閃参式】。これは弐方と違って一撃だけだ。だが特殊効果があり、それは──
「ヘイト奪った。サブタンク以外隠れろ!」
──ヘイトを集めるのだ。今回俺が使ってる型は【水ノ型】。カウンターと防御で耐える。しっかりと防げればあとは攻撃班がやってくれるだろう。
ゴブリンキングが無造作に大剣を振り下ろす。
それを【流刀】と身のこなしで受け流し、巨体の腹に一撃入るが薄皮1枚切れたか切れてないか。
硬さに泣きそうになりながら目の前に立ち、いつでも抜刀できるように構える。その間にも攻撃班が様々な場所からチクチクと攻撃を加えている。
そこに今度は横から薙ぎ払ってきた大剣を姿勢を低くしつつ下から上に切り上げて受け流す。
姿勢は崩さないが若干ふらついたゴブリンキングに後ろからほぼ全員が強襲し急所の首や心臓、頭にASを叩き込む!
HPがごっそり8割まで減った。やっぱ最初のイベントボスだけあって弱いな。
「ガアアアアアアアアアァァ」
痛みと共に振り回されるそれを【流刀】や、純粋に回避してやり過ごす。ゲージは半分位まで溜まった。
「ユルサン。ユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサンユルサン」
壊れたかな?
そんなふざけたこと言ってる場合じゃない。
何度も何度も真上から大剣が降ってくるのだ。さすがに【流刀】や、避けるだけではなんとかならず、当たってしまい、左腕にモロに食らう。
気絶しかけるレベルの痛み。
HPは残り3割。やっぱVIT上げてないからこんなもんか。
だがゲージは溜まった。技の発動条件はクリアしている。あとは打つだけ。
目の前をもう一度見る。巨大な体は所々から血が吹き出しているがまだデカい。ゴブリンキングがまた大剣を上段に構える。
「クラエ、ワガオウギ【メテオクラッシュ】!!」
流星の如き速さと重さの一撃が振り下ろされる。それを半歩横にそれ回避しそのまま...
「くらえよ【餓狼】!!!」
ドス黒いオーラを纏った刀がゴブリンキングの土手っ腹に突き刺さり、ぶち抜いた。
【水ノ型】初級の奥義扱いのAS。自らのHPが少ないほど威力が上がる単発技。
発動条件は型ゲージを相手の攻撃を受け流したり、躱したりで貯めなければ発動不可能なとてつもなくめんどくさい技だがその分威力はとんでもない。
ゴブリンキングのHPが物凄い速度で減っていき残り1割までになった。
「あとは頼んだぞ!攻撃班!」
「そこで休んでろよ!あとは殺っとく」
「任せた」
あとはなんかゴブリンキングさん袋叩きにされてた。
《ゴブリンキングが討伐されました!同盟名:暗殺者の集いの参加者に貢献度1000ポイントプラスされます》
「やられたかー」
「まああいつらまさか何人か残ってこっちの相手をしてくるとは思わなかったしな」
目の前でポリゴンとなり、消えるボスを横目に残念そうに誰かが呟く。見ると、どうやら間に合わなかったプレイヤー達だった。
「そんなもんか」
「そうは言っても俺たちだって結構貢献度獲得したからOKだ」
「まー次があるしな!」
そう、イベントはまだ始まったばっかりだ。
ポイント、ブクマ等貰えると逆立ちして喜びます。感想は難しそうなんで別にいいですよ




