1 まずは
気がつくと美男美女に溢れる広場に立っていた。
流れる水や風の匂い。ほんとにここは現実じゃないのだろうか?
そう勘違いするほどリアルだった。今までのVRゲームとは比べ物にならないだろう。
ここが始まりの街ロエネ。スタート地点だ。
とりあえず今の自分の格好を見る。布のズボン、シャツに革の鎧。背中には刃渡り50センチぐらいの直剣。そしてボロい靴。これが剣士の初期装備らしい。
軽くヘルプを読んで確認も済み、巨大な壁の門を抜け、平原に出る。
かなりの人が兎と戦闘していた。
...半分は逃げてるが。
それも無視してリポップしたばかりの兎を探し、見つけた。
抜いた直剣は思っていたより短いがずしりと重く、真剣であることを今更ながら思い出す。
とりあえず真正面から斬り込む。
「キイッ」
それなりの速さで振った剣をなんと兎は避け、お返しに蹴りを叩き込まれた。
グンっと体力が減って、残り450ぐらい。
痛みは無いが少し不快な感じが蹴られたポイントに残る。
これが痛覚の代わりか。
今度は直剣術の初期技
【スラッシュ】を打ってみる。
「【スラッシュ】」
呟くとシステムが認識し、剣が青白く光り出す。
そして体にほんのりと強制的な力が加わり、肩ぐらいに構えられた剣が更に速く振り下ろされた。
今度こそ命中。
だが兎は倒れず、なんか赤く光った蹴りを返してくる。兎強くない?
何とか躱し、一瞬硬直して動けない兎を突き刺す。
「キイィ」
ようやく断末魔を上げつつ兎がポリゴンになった。
……これは正面から戦ったらヤバそうだ。
そこで今度は忍び足を使いつつ背後から忍び寄る。
たしか不意打ちスキルは攻撃の威力が高くなるはず。
それを信じながら背後から【スラッシュ】を打つ!
「キイィ」
一発で仕留められた。どうやらこれが安定しそうだ。
次はイノシシとも戦ってみるか。
うん。怖い。なんだよあれ。物凄い速度でリアルなイノシシが突っ込んで来んでくるからビビるわ!
横にジャンプしつつ【スラッシュ】を打つ。
なんとか倒せたが、強い。その分経験値も美味いが。
その後2時間くらい延々と兎とイノシシを狩り続けた。おかげでレベルも5まで上がった。
ポイント割り振りやら装備を整えるために街に戻るとしようか!