14 待ち人と準備
闇ギルドで仕事した翌日。街のデカい噴水で人を待っていた。
「やっほー」
「おーす」
遠くから背中に弓矢を背負い、動物の毛皮を鞣して作ったであろう服を着た少女が走ってくる。
「なるほどなるほど。それが月乃君のキャラなの?うん。掲示板を騒がせてる首狩りだね」
「へー風見のアバターマーガリンって弓で狙撃しまくって嫌われてるレッドプレイヤーじゃん」
「HAHAHA」
「HAHAHA」
お互いに笑って誤魔化す。世の中には知らない方がいいこともあるのだ。
「で、どうしたの?」
「いやちょっと色々あって手伝って欲しい」
そこにオッサンもやってきた。装備は前と少し変わって所々金属混じりの鎧と長剣。
「おう。来たぞ。何の用だ?こっちは貴重な休日だってのに」
「今からなにがあったか話すよ」
かれこれ30分前にあったことを整理しながら話し始めた。
「えーとなんか掲示板で狩場探ししてたら新しいエリアの情報見つけたんだよ」
「うん。その狩りが普通にモンスター目当てじゃないとこには突っ込まいないわよ」
「トップ層もいるし行きたかったんだがどうやらエリアボスを倒す必要があるらしいんだよ。たしかボスはビックベアって言って文字通りデカいクマだった。こんなん余裕だろとか思ってたんだ。
で、行ってみて速攻で首に向かって【一閃】使ったんだけど、何故か分厚い脂肪と皮に阻まれて切れなかったくてね」
「むしろどうやって人間の首切ってたの?普通に切れないと思うんだけど」
「そこから大変だったさ。あいつ見かけによらずめちゃくちゃ素早い。しかも食らったら一撃で8割持ってかた。あいつ目が血走ってて怖い怖い。慌ててボスエリアから逃げ帰ってそう言えばマーガリンとオッサンが居たなって思い出して呼んだ」
「なるほど〜。面倒くさそうだから帰っていい?」
「え、新しいエリア気にならないの?」
「わざわざボスを倒さなくても行けねぇのか?」
「うん。キレてやってみた。結果から言うと結界があって無理だったよ。先に進めないんだよ」
電撃はもう喰らいたくない。
「まあ俺としちゃあどの道行くことになる訳だから行くか」
「そうかそうか。さてマーガリンよ。君は行かないのかい?」
「うーん....。いいわ!行きますか!」
そんな訳で凸凹3人組みたいなものが出来上がった。
が
「あ、その前に少しだけ準備させて〜」
「なんかやるん?」
「えーとね、狩人ってジョブは弓兵より弓の補正が落ちる代わりに罠が仕掛けられるんだよ」
あと鉈が使える。ガサゴソとウインドウから色んなアイテムを取り出し、組み立て始めながら饒舌に語り始めるマーガリン。周りからは若干奇異の目で見られてるが本人は気が付かない。
「まあまだ作れる罠の種類は少ないんだけど、とりあえず落とし穴セットとトラバサミ作ってみてるね。これが派手でねぇ…」
「なんかモン○ンみたいだな」
「だよな。モ○ハンみたいだ」
男2人アホみたいな感想を述べながらボケーッと眺める。
カチャカチャとテンポよく仕込みを作り、網の準備を終えていく。
「おっけー行こうか!」
今度こそ凸凹3人組の出発だ!




