妹弟
妹弟のステータス紹介です。
目を覚まして一番最初にした事は、身体能力の確認からだった。と言うか、せざるを得なかったのだ。
どうやら俺の身体能力は軽く人の限界を超えてるようで、最初は制御できなくて自室の床の1部とドアを破壊してしまった。これでは他人に怪我をさせてしまうと思い、加減の仕方を練習した。流石にラジオ体操を3回すると加減の仕方が分かってきた。
鱗の様子が見たくて鏡を覗いて見た。いつものように冴えない男の顔が写っている。いつもと違う所は手足に鱗がくっついてる事くらいだ。背中側を見たくてシャツを脱ぐ。若干筋肉のついた、細身の背中に沿うように生えてきている。違和感を感じてしばらく鏡を見ていると、都に声をかけられた。
「兄さん、起きたなら降りて来るの!なかなか来ないから案内板に嘘をつかれたかと思ったの。」
「あぁ都、無事でよかったよ。また悪い癖が出てしまったみたいだ、ごめんごめん。雪春は寝てるか?」
「反省してない時の反応なの。ハルは珍しく起きてるの。ソワソワしてるから、早く降りるの。」
「分かったから、シャツくらい着せてくれ。」
「なんで?綺麗なの。」
普通、女子は蛇とかトカゲを嫌いそうだけどなぁ。なんて思いながら、服を着て都と下に降りる。
「兄貴!大丈夫?」
「おぅ、雪春。俺は無事だ。それにしてもお前、毛深くなったなぁ。どーした、それ?」
「兄貴こそ、鱗まみれじゃん。」
「そこまでなの!とりあえず一人づつ報告なの。まずは情報が集まらないとまとまらないの。兄さんに判断は任せるの、お願いなの。」
「了解した、妹殿!」
我が家は平常運転だった。父が居ないことに対しての不安を見せず、空元気であっても場を乱そうとしない。いい子達だよ、まったく。
「まずは私からなの。ステータス。」
どうやらステータスは任意で見せられる様で、あっさり都のステータスは確認できた。ボードの色が赤くなっているが、見られるように設定してるという事だろう。
長滅都(18歳、女性)
職業:料理人Lv1(0/300)
SP:10
魔力:280
MP:330
スキル: 吸血牙Lv1 : 闇魔法Lv1 : 瞬間再生 : 料理Lv5 :調合Lv4 : 解体Lv2
ギフト: 感覚操作 : 完全耐性 : 配下作成
「都のステータスは完全に魔法系支援だな。職業は料理人にしたか、都らしいな。」
「姉ちゃんすげぇ、どんだけ料理上手なんだよ!」
「とりあえずスキルの説明はあとなの。身体の変化は犬歯が伸びて、そこから体液を吸えるようになったの。コンプレックスは、血を吸う生物への生理的な恐怖心らしいの。次はハル、ステータス出すの。」
「わかったよ、姉ちゃん。ステータス。」
長滅雪春(17歳、男性)
職業:農家Lv1(0/300)
SP:10
魔力:30
MP:70
スキル: 剛毛Lv2 : 魔鉄爪Lv1 : 土木魔法Lv1 : 生産者Lv1 : 農家の瞳
ギフト: 超肉体強化 : 雑食 : 作成
「ハルは脳筋なの。スキルに馬鹿にされてるの、そもそも剛毛ってスキルなの?」
「ま、まぁいいじゃないか、計算的に剛毛Lv1を素の状態で持ってたみたいだけど。雪春、気にするな。」
「兄貴!慰めてねーよそれ!」
「…春雪のコンプレックスが知りたいなぁ。無神経の塊みたいなやつが、何を気にしてるのか知りたいなぁ。」
「話をそらせてねーからなそれ!ったく、わかったよ。俺のコンプレックスは熊への圧倒的な恐怖心。身体的には毛髪を物理耐性が非常に高い毛に変え、腕と足に追加で増毛する。だったよ。」
「なるほど、去年熊に遭遇した時が余程怖かったんだな。川の対岸で遠目だったと聞いたんだがな。」
「怖ぇもんは怖ぇよ。子連れだったし、爪で木を引っ掻いてるの見た時は漏らすかと思った。」
「まぁ、今は熊みたいな身体を手に入れてんだ、大丈夫だろ。そいじゃ、次は俺だな。ステータス。」
と俺のステータスとスキルを見せ、コンプレックスと身体的変化を教えた。
「兄貴のスキルLvが1番高いな。」
「組み合わせも良さそうなの。でも、ステータスはぱっとしないの。」
「都さーん、さらっと毒吐くのやめて貰えませんかね。これでも3倍になってるんです。それより高いステータスの都さんが異常なんです。」
「兄さんが敬語になってるの、これは相当傷付いてる証拠なの。それは置いといて、兄さんの鱗は白くて縁起がいいの。虹彩の色も赤くなってるの。」
言われて窓ガラスを見ると、確かに目が赤かった。充血とかではなく、赤と言うより紅に近い色をしている。さっきの違和感はこれだったのだ。自分の顔面に無頓着で、言われるまで気づかないのも問題だな。
「そういう都は、ますます肌が白くなったな。伸びた犬歯も八重歯みたいで可愛いぞ。雪春の毛は栗毛っぽくて俺は好きだぞ。ただゴワゴワしそうだがな。
目は二人とも変わってないな。都は吸血鬼っぽいけど、瞳は日本人だ。」
「兄貴、良いか悪いかどっちかにしてくれ。」
「兄さん、多分鬼じゃないからなの。」
そんな2人の返答がいつもより心地よく感じた。
スキルは次の回です。その次の回から探索とか行かせたいです。