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半年前
初投稿です。どうぞよろしくお願いします。
「これで最後!」
肉を断ち骨を削る感覚を腕に感じながら、目の前に居る、二足歩行で歩く豚顔をした化け物の心臓を貫いた 。周囲を見渡すと、同じ種族の死体が散乱し、むせ返るような血の匂いが充満していた。この豚顔の化け物はオークと呼んでいる。 繁殖力が強く群れで活動する。よく農作物を荒らしに来る、今回の駆除対象だ。
「兄貴、こっちも終わったよ。」
「怪我はないか?」
近くで駆除していた弟も無事終わらせたようで、熊のように大きな体を揺らし近づいてきた。見た感じはかすり傷ひとつ無い。
「うん、1発も貰わなかったよ。」
流石に、世界が何もかも変わってしまってから1年。願いの力で強化され生きのびてきただけはある。群れに対しても適切に行動できるようになってきたな。
俺は思い出す。家族を守ると誓った日を。
俺は思い出す。恐ろしく白いこの鱗を身にまとった日を。
俺は思い出す。世界が何もかも移り変わってしまった、あの日を。