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狂喜
「お願いします。ヴァインの血をください」
ヴァニラは、何時間も何時間もヴァインにねだり続けている。なにも与えず、なにも聞き入れず、ただその叫びを楽しんでいるような。
「どうした?元気がなくなってきたな。そんなに僕の血が欲しいんだな。しょうがないな」
ヴァインは、懐から何かを取り出す。赤黒い液体の入った小さな小瓶。ヴァインの血だろうか。
「これでも飲めば?」
ヴァインは、その小瓶をヴァニラに渡す。ヴァニラの目は、赤くなり、その小瓶を見つめる。しばらくしてヴァニラは、その小瓶を開けた。
あのときと同じ、ヴァインの血の香り。ヴァニラは、嬉しそうにその中身を飲み干す。すべての乾きが満ちていき、ふわふわした、なんとも言えない心地よさがヴァニラを快楽の海に沈めていく。
「どうした?そんなに気持ちよかったか。もっと欲しいか?」
ヴァニラは勢いよく首を振る。もうヴァニラはヴァインの血のことでいっぱいだ。
「でも残念でした。もうあげない。もっともっと苦しめばいい」
ヴァインは高らかに笑った。自分の女にするためにと。




