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  作者: 花月姫恋
6/8

運命

「ヴァイン、僕に、血を」

ヴァニラは、素早く彼女を突き飛ばし、牙を剥き出す。もう、渇きに抗えない、そんな欲望が爆発している。

「早く、僕を癒して」

しかし、その叫びは聞き入れてはくれない。それどころかヴァインは、ヴァニラから離れていく。まるで、罰を受けているかのように。

「やっとか、だが、あげるわけないだろ。ヴァニラが、壊れるまで飢えさせてやる」

ヴァニラの目は、真紅に染まる。

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

その叫びは、森の中に轟く。


「ヴァニラ?」

後方からヴァンの声が聞こえる。ヴァニラの叫びで駆けつけたのだろうか。

「兄さん、はぁはぁ。息がくるしい」

ヴァニラはもう限界だった。血が欲しくて、欲しくて本当に狂ってしまうような。

「ヴァニラ、大丈夫か……」

ヴァンはふと手前にいる彼女をみた。その瞬間、今の状況に似合わない穏やかな風が吹き始める。何かを祝福しているかのよう。

「兄さん、僕に兄さんの血を」

ヴァニラは、ヴァンに手を伸ばす。しかし、ヴァンは、ヴァニラから遠ざかっていく。

「ヴァン、おまえはいいやつだな。俺のために協力してくれるとは」

ヴァンは、その言葉を無視し、何かにつられるようにふらふらと歩いている。その足は、彼女の方で止まった。

「俺についてこい」

しかし、衰弱しきっているからか彼女の体は全く動いていない。

「しかたないな」

ヴァンは、彼女の頭と両足の関節に手を入れる。これはいわゆるお姫様だっこだ。彼女の顔はリンゴのように真っ赤に染まる。もしかしたら、吸血されたときよりも熟したりんごになっていたかもしれない。ヴァンは、そのまま持ち上げ、歩き出す。それはまるで、本当の王子様と姫のようだった。








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