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――汝、自分の小説を愛しなさい。

作者: 紫陽花の鼬




 ――汝、自分の小説を愛しなさい。



 それは世界にたった一つの作品。

 自分だけにしか出来ないこと、出来ない想いを書き綴ったものなのですから。



 その想いは大切な形となり。

 きっと、アナタのことを知る、とても優しい人の手に触れられるでしょうから。



 この日本には、ネットがあります。

 ネットの上では、毎日無数もの〝小説〟や〝コラム〟などが生み出され、その半数以上が誰の目に触れられることなく、消えていくことでしょう。それを〝無形の星のくず〟と捉えるのか、または、〝なにかの想いが結晶となった形〟と捉えるか――それは、人それぞれなのです。


 もっというと。

 あなた次第なのです。


 ――評価がほしい。

 ――賞賛されたい。

 ポイントがほしい。誰かの目に触れたい。


 …………ええ、ええ。

 ええ、分かります。分かりますとも。


 だってこのコラムを書いている女神様だって、そんな日々のネットの海に毒され浸食されている人物なのですから。でも、それだけじゃないことも知っています。



 ――厳しい意見を、書き連ねてくる人もいるでしょう。

 ――自分の意に添わないことを、中傷してくる方もいるでしょう。


 でも、その作品を評価するのは誰なのか。

 日々、流行のみを追いかける読者たちなのか。もしくは、出版の人の目にとまるからなのか。――評価なのか。ポイントなのか。


 いえ、違うと思います。

 強く、強く、違うと私は思うのです。




 ――汝、自分の小説を愛しなさい。


 その小説はアナタが魂を傾け、心の器から注いだ心血で満たされた〝杯〟なのです。美しいでしょう。とても、輝きを放っているでしょう。それは街の古道具屋にあり、骨董品に囲まれて隠れてしまっていても、そこにかけた作り手の〝気持ち〟は――本物なのですから。


 だから、誇ればいい。

 だから、敬すればいい。


 それは、アナタにしか出来ない――。アナタの創成した、〝物語〟なのですから。貧賤などない。挑戦した証しが、そこに残っているのですから。その手のひらで、強く、強く光を放っているのですから。


 だから、めげることはない。

 ――前進しましょう。



 きっと、昨日までのアナタよりも、より強くなったアナタが、またより良くなった『物語』を創っていけるはずですから。



 ――その作品の真価を決めるのは、読者でもない。

 ――ポイントの評価でも、ない。



 それは、明日のアナタなのです。

 昨日までの経験を踏まえ、より未来でいい作品をつくっているアナタこそが――昨日までの作品たちの価値を決めるのです。


 だから、


 ――汝、自分の小説を愛しなさい。



 その作品を胸に、ジメジメとした後悔を捨てて、ただ前を向いていけばいいのです。

 世の中では厳しいことがあります、分かります。家を出れば学校に仕事に待っているし、今ここで佇んでいる思考とは別の生き物の自分が動いている。ネットのことなんか思い出す暇もない。――だから、せめて作品くらい。いいことあってもいいじゃないか。分かります。


 まあ、だからこそ。

 私は優れた執筆者であるアナタを認め、そして、こう言います。


 ――汝、さっさと自分の小説の執筆に戻りなさい。ほら、ほら。



 こんなコラム見ている場合じゃありません。





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