逆ハーの弊害。
母が再婚するという。
ウチが子どもの頃に父とは死に別れて、母は女手一つでウチを育ててくれた。
そんなウチも来月は30。母は17だか18でウチを産んだからギリ40代。友達親子感覚は抜けないし、今更再婚すると聞かされても「好きにしたらええがな」という思い。
今度は上手くいくといいね。という願いにも似たものを頭の隅に置き、母の荷物持ちを買って出て、新しい家へと向かう。
「見てサッちゃん。あれが新しい家やって!」
「……」
スマホのナビ通りに進めば、目の前にはテレビで紹介されるような立派なマンション。マンションの名前を確認すれば、確かにここで合っている。
そんな立派なマンションに住むような人間と、いつもどこで知り合ってんだ。そんな事を考え、母を見ればのんびりのほほんとした笑みで小首を傾げてくる。母の場合、いつの歳でもそんな仕草が似合うから何も言えない。
1階は共有スペース。外から見える部分にはカフェが見える。窓際に座っていた男性がコチラを見て、慌てて立ち上がる様が見えた。
「あ、エイジロウさん」
母が男性に向かって小さく手を振れば、男性も振り返してくる。が、途中で何かに躓いたのか体勢を崩すところも見えた。
「……あのドジのどこがええんや」
「もう!エイジロウさんの事、悪く言わんとって!」
「はいはい」
二の腕を叩かれるが、母の力は決して弱くない。見た目こそポカポカと軽めに見えるが、実際はガツン、ガツン。だ。地味に痛い。
「よ、ヨウコさん。ようこそ!」
「エイジロウさん、今日からよろしくお願いします」
「いえ!あの、こちらこそ!」
ニコニコする母に、今日(戸籍的には三日前)から義父となるエイジロウという男性は、照れを隠しもせずデレデレしている。
母は、見た目は決して美人じゃないが童顔。体型だって身長低めのポッチャリ系だ。まあ娘から見てもいつもニコニコしてるし、穏やかな性格の母は癒し系に該当するんじゃないか?という程度。
なら金回りが良いのか?いいや、いつもカツカツで、母子二人ならちょい貧乏ラインに入っていた。むしろ、付き合ってる男の方が規格外に金持ちでウチの学費やら何やらは男の方に出してもらってた。
その他の理由も考えてはみるが、「これ!」といった理由自体が思い浮かばない。
よくわからないのだ。何故母がここまで好条件の男ばかり引っかけられるのか。
「あ、サチちゃんもよろしく!」
「……ども」
「僕の事は『お義父さん』って呼んでくれていいからね!」
「……そっスね」
義父はウチにも良い顔を向けてくるが、すぐに母の方へと向きを変える。これもいつもの事だ。男たちが好きなのは母だけで、ウチはオマケ。良い顔と態度、待遇を与えてくれるのは、その先に喜んでくれる母がいるから。逆にウチに対して辛辣な態度を取ってくる相手とは、すぐにさよならしていた。
だからウチは、必要最低限の付き合いだけでいいんじゃないかと思う。もう30だし、苦労してた母も自由にすればいい。
「ほな、お母さん。ウチ帰るわ」
「ええ?!サッちゃん、帰るの?」
「当たり前やろ。ほな、……えーオトウサン。母をよろしくお願いします」
「そんな、すぐに帰る事はないじゃない。お茶くらい一緒に飲みましょ。ねえエイジロウさん?」
「そうだよ。そんな寂しい事言わないで。そうだ。君の弟も紹介するから!」
「は?」
おとうとって、何スか。
◇◇◇◇
何だかんだで母に腕を取られ、引っ張られる。母の荷物は義父に預け、高級マンションとやらに足を踏み入れた。
「おかえりなさいませ」
こちらに向かって見事な角度で礼をする男性。……コンシェルジュなんて、生で見るのは初めてだ。エレベーターも、何ていうか、こう……高級!って感じ。うん、まあ高級マンションに入った事も無けりゃ、感想なんてそんなもんだ。
「……」
話を弾ませてるのは母と義父だけで、ウチは会話に入らない。入る気も無いし、入ったとしてもすぐに二人の世界になるのは目に見えてるから。
降りる階数に着けば、耳をグリグリと押さえる。エレベーターの上下運動で起きる耳がキーンとするやつは、どうも慣れない。
「このワンフロア、全部僕が買ったんだ」
理解できない金持ち発言に、ついていけない。
案内された扉を開ければ、マンションというには広い玄関。その先には母よりも年上であろう女性が「おかえりなさいませ」と、出迎えてくれた。名はエツ。歳は53だという。見た目的にいろんなものを見ちゃう家政婦を思い浮かべてしまった。
「ユキは?」
「お部屋で本を読んでおられます」
「そ。紹介したい人がいるから、呼んできて」
「かしこまりました」
案内されたリビングも、これまた広い。無駄なもの……というより、好みのものだろうものしか置かないそこは、モデルハウスのように整えられていた。
やがて、エツに連れられてやってきたのは、小学校にも行ってなさそうな小さな子。
「は?」
義父も母と変わらない歳だと聞かされていたから、自分と同じか、小さくとも中学生くらいだろう。と、考えていた。それが、予想よりもずっと小さい。
「この子がね、ユキ。この前5歳になったんだよ。ユキ、この人たちが新しい家族だよ。彼女が僕の奥さん、つまり君のお義母さん。で、こっちがサチちゃん。お姉さんになるんだよ」
ユキという子は、とても小さい。名前通りに肌は白く、顔は父親と同じく整っている。
「こんにちは。今日から君のお義母さんになります。よろ……」
母がユキに合わせて目線を下げて声を掛けるが、人見知りなのかエツの後ろに隠れる。
義父がその態度を叱るが、母に執り成され渋々といった体で口を噤む。
そりゃ、前の母親がどうなったかは知らないが、この歳の子に「新しいお母さん」なんて紹介されたって、自分にとっての母親は産みの母親だろう。すんなり納得できるわけがない。
「ユキはね、前の奥さんとの子なんだけど、……恥ずかしい話浮気されちゃってね。本当はあの子の二つ上の姉も引き取るつもりだったんだけど、あっちに取られちゃって。加害者でも、母親って存在は強いよね」
母親の実家が裕福らしく、別れた後は娘と二人で実家に戻ったらしい。
ウチが子どもではないからか、義父の家庭事情とやらも話してくれる。が、正直どうでもよかった。
よそはよそ、ウチはウチ。
深く係わったって、どうする事もできないし、もちろんする気も無い。
◇◇◇◇
「はあ!?」
驚きの顔と声、ウチにこれをさせられるのは母だけ。
その母が提案したのは、ウチもここに住め。ということ。
言わせてもらうが、ウチはちゃんと自立してる。この歳まで母親の金魚の糞になったつもりはない。何が悲しくて、この歳までコブ扱いされにゃならんのか。
「だってェ、今の家とサッちゃんのアパート、遠いもん」
何が「だってェ」だ、何が「もん」だ。この歳でも、言って違和感が無い母親に、今は腹が立つ。
「僕は別に構わないよ。このフロアには使ってない部屋があるし、好きな部屋を選んでくれたら」
「……どォも」
言外に、一緒に住まないけどね。と言っているようなものだ。にこやかで好意的な事を言っている分、尚更腹が立つ。「要らんこと言うな」と。
「ええ加減にせえ。ウチは来月、30や。いつまでも親と暮らしとォないわ。……ああ、言うとくけど、別に嫌いとちゃうでな。泣くなよ。」
これを言っとかないと、「サッちゃんが反抗期~……お母さんの事、嫌いなんや~……」と、泣き出す。その際、母親の相手から睨まれるのはウチ。
「ええ機会やろ。お母さんも、子離れせェや」
しがみつかれる前に、自分の荷物を持ってさっさと逃げ出す。
扉を閉めたリビングの向こうでは、やはり泣き出した母の声にげんなりし、追いかけられる前に玄関へと急ぐ。
「?」
「ッ!」
別の扉が薄く開いているのに気づき、そちらを見ればこちらを窺っているユキと目が合った。それに驚いたのか、ユキは慌てて扉を閉めた。
電車に乗り、しばらく歩けば我が城に到着する。
あの高級マンションと比べるのもおこがましい程に築年数の経ったボロだが、住めば都。母親があまり入らない、唯一とも言える自分の場所だ。
鍵を開け、その辺に荷物を置いてベッドに身を投げる。
「ああ、メンドクセ」
今度はいつまで持つかわからないが、長く続けばいい。
その分、自分は一人でいられるのだから。
別に母親は嫌いじゃない。ただ、過干渉が鬱陶しい。自分のエリアに、娘がいないというのが嫌なのだろう。しかし、何度も言うが自分も30になる。いい加減にしろと言いたくなる気持ちも分かってもらえるだろうか。
恋人を作ろうとか、結婚を考えた事?無い無い。自分の見た目は解ってるし、母親の恋人、結婚遍歴を見ていれば、そんな気持ちなど雲散霧消となる。
1人が一番、孤独死なんて怖くない。
なのに……
「どういう事や!」
「サッちゃん、怒らんといて」
「ゴメンね。僕が勝手な事をしたんだ。やっぱり、家族って一緒に住むのが良いんじゃないかって。」
あれから数日後、仕事から家に帰れば部屋の中身はキレイさっぱりと無くなり、一枚のメモが置かれていた。
[引っ越しは終わったから、サッちゃん早く来てね。 お母さんより]
読んだ瞬間、メモを細切れにしたウチの気持ちを分かってほしい。
「このクソったれがああああァァァッ!」という怒りのままマンションに向かい、インターホン越しに怒鳴ってやれば、コンシェルジュが少しばかりの戸惑いを見せ、こちらの様子を窺っている。
母親らがいる部屋へと入れば、少しばかりの「ごめんね」という顔をした二人に迎えられ、腹が立って仕方ない。
「ヨウコさんに泣かれちゃって。あ、部屋にあったものは全部運び入れといたから。そうだ、欲しいものがあったら遠慮なく何でも言ってね!」
「ほな、元の部屋に荷物戻してんか?」
「ゴメン、それは無理」
だって、君が住んでたアパート、取り壊しが決まっちゃったんだって。
決まった。ではなく、決めたのだろう。もちろん、目の前の義父が。
昔からそうだった。
母親が連れてくる男の恩恵のおこぼれをサチも貰ってはいたが、逆に母が望めばサチにとっての災厄も降りかかる。それを叶えるだけの権力も金も、今までの男たちは持っていた。
「サッちゃん、怒ってる?」
「……しばらくは、口きかんからな」
こんな子どもじみた反抗しかできない自分を歯がゆく思い、エイジロウが差し出すカギを奪うように受け取り、教えられた部屋へと向かう。やはり玄関が閉まる前に泣き出した母親に、眉間の皺が更に深くなった。
「……上等やないかい」
このマンションの構造の一部は、吹きさらしのドーナツ型をしている。義父や母が住む部屋は、一番奥側。サチの部屋は吹きさらしを挟んだその向かい。つまりは一番離れた部屋だ。どう考えても、義父が指定した部屋だろう。
いつかあのにこやかな顔にメリケンサック付きパンチ入れてやる。と、サチは鍵を開け、部屋を確認する。
一つの部屋に適当に入れられているわけではなく、いつでも住めるように物がちゃんと置かれている。
誰が触ったかわからない自分の物に、若干どころではない嫌悪を抱き、しかし買い直すお金も、もちろんあの義父に頼む気も無いため、無理やり自分を納得させた。
お風呂やトイレを確認し、ふと気づいたのが洗面所に置かれた歯ブラシ。
自分が使っているのはドラッグストアで買った安物のピンクの歯ブラシ。では、この黄色の小さな歯ブラシと子ども用歯磨き粉は何なのか。
サチの脳裏に、嫌な予感が過り、警鐘が鳴らされる。
奥にある部屋の扉には、『YUKI』と書かれたネームプレートがぶら下げられている。
「おい、ふざけんなよ」
予感は確信に変わり、リビングに行けばテレビを見ていたユキがサチに気づき、ソファから降りてお辞儀する。
「……今日から、よろしくおねがいします」
わあ、上手に挨拶できたね。偉い偉い。そしてこれはどういう事かな?
よそ行き用の笑顔でユキの頭を撫でてやり、ユキから事情を聴いたサチは、「ちょーっと、待っとってな?テレビ見とればええから」とだけ言い、玄関を出てダッシュで母らの居る部屋へと向かう。
「ええ加減にしとけよ、このクソジジイ」
般若の如く顔を歪ませ、怒りを露にする娘を笑顔で迎えた義父は、「これを機に、姉弟の仲も深めてくれたら良いと思って」と、しゃあしゃあと言ってのけ、それに更に腹を立てたサチは勢いよくドアを閉めてやった。ぶつかろうが、知った事か。
自分に当てられた部屋に帰れば、先程と同じようにリビングのソファに座っていたユキ。しかしテレビは見ておらず、チラチラとサチの様子を窺っている。あの義父は腹立たしい事この上ないが、その息子に罪は無い。怒りをぶつける相手はこの子じゃない。と、サチは大きく息を吐き出し、自分もソファに座る。
「……あー、えーと。まずは自己紹介……は、したか。えーと、お前の事、ユキって呼んでええか?」
腕と脚を組み、そう訊けばオドオドした様子で小さく頷かれる。
サチがまだ怒っていると思っているのか、何も喋らない。
「あー……、確かにさっきは怒っとったけど、別にお前は悪ない。怖がらせたんやったら、ゴメン」
組んだ脚を下ろし、深々と頭を下げてみせればユキは大人が謝った事に驚いたのか、驚きの顔で固まる。先程までの恐怖は薄れたようだ。
「今日から、ウチとアンタは姉ちゃんと弟や。アレらが姉弟一緒に暮らせ言うなら、ウチはアンタの面倒見たる。ご飯はあのお手伝いさんのご飯が食べたかったら、こっちに来るよう頼んでくる。けど、ウチはお手伝いさんがおる生活に慣れん。あの人にしてもらうのは飯だけや。洗濯も掃除もできるさかい、そこの区別はハッキリつけるで。……せや、今日はもうご飯食ったんか?」
「……まだ、食べてない……です」
「ほな、今日はもう遅いでウチが作るわ。それからその喋り方。いっつも、そんな丁寧に喋っとんか?」
「ううん、違う」
「別にここでは普通に喋ったらええ。外でそう喋らなアカンのやったら、そう喋れ。せやけど、家の中にはウチとアンタしかおらん。わかるな?」
ユキが何度も頷いて見せれば、サチは彼の頭を撫でてやる。
「今日はオムライスにするわ。……せや。アンタ、アレルギーあるか?これ食べたら死ぬみたいな」
「ううん、ないよ」
「さよか」
それだけ確認して、サチはキッチンへと向かう。ユキは撫でられた頭に手をやり、先程の事を思い出したのか、小さく口端を引いた。
親子ほどに歳が離れた姉弟。
サチとユキが仲良くなるのに然程時間は掛からず、幼稚園の送り迎えもして欲しいとユキがねだれば、それも行うようになった。
しかし、その幼稚園でサチが再会したのは今まで母が付き合っていた男の息子たち。
「あ!サチ!」
「アネキだ!」
「おね、ちゃ……」
「サチねー、どこ行ってたの!?」
お互いを認識した途端、男児4人がサチに走り寄ってくる。
「うお!リュウヤ、マオ、カイ、アオト。何や、お前らここに通っとったんか?」
我の強そうな少年、リュウヤはサチのジーンズを引っ張り「俺に黙って勝手に消えやがって!」と不満を訴え、明るい髪のヤンチャそうな少年、マオはサチの脚に抱きつき「なーなー、今日はレンジャーごっこしようぜ!」と遊びに誘い、線が細く髪を長く伸ばしている少年、カイは「おね、ちゃ、もう、どこにも行っちゃヤダ……」と泣きだし、坊主に近い髪型をしているわんぱくそうな少年、アオトは「サチねーのホットケーキ、また食いたい!」とねだる。
「おお、おおい。いっぺんに言うな」
「……ッ」
いつの間にか自分はのけられ、サチの周りに集まる少年たちにユキはムッとした顔と態度を露にする。
「今は僕のなの!」
「わっ、何だコイツ!?」
「こらこら、乱暴はアカン」
サチの周りにいる少年達を押しのけ、ユキは両腕を広げて姉を隠そうとする。が、多勢に無勢。すぐに掴み合いになり、勢いに負けかけたところでサチに抱き上げられる。
「サチ!ズルイぞ!」
「おね、ちゃ!ぼくも!」
「あー!もう!ちょ、落ち着けお前ら!」
何とか少年達を幼稚園に放り込んだところで、声を掛けられた。
そちらに目をやれば、以前母が結婚直前まで付き合っていた男達。
「やあ」
「……どーも」
「こんな偶然ってあるんだねェ。良かったら、お茶でも飲まない?」
「そうだな。お前に話がある」
「こっちは無いっス。じゃ」
逃げ出そうとすれば、大小幾つもの手に服やら腕やら肩やらを掴まれ、妨害される。子ども達も、戻ってきたらしい。
これだ。母も、終わらすならキッパリスッキリ終わらせてくれりゃあ良いのに。中途半端に残しやがって。
あ、やっぱり嫌い。母親のこういうとこ嫌い。
「あー、もう!放せや!」
場所は幼稚園前。他のお母さん方からヒソヒソされるし気まずいし、居た堪れないし、恥ずかしいし、腹立つし!
殴って解決できるならとっくにグーパンチを出してる。しかし、世間体とかこの親父たちのタチの悪さを考えると、加害者になる事は避けたい。
ホンマ、覚えとれよオカン!!
◇◇◇◇
「ヨウコさん、今日は外に食事に行きませんか?」
「ええ!じゃあ、サチとユキくんも……」
「いえ。今日は、二人で過ごしたいんです……」
エイジロウの視線に、ヨウコは頬を染め、少し俯く。頭の中には、もう子どもたちの事は無い。
ここ最近、子どもたちと会ってないような気がする。だけど、同じマンションに住んでるんだからいつでも会えるわよね。
簡単にエイジロウに気を逸らされ、そんな結論を出したヨウコは、エイジロウが提案する食事の為の服を買いに二人仲良く出かけて行った。
この場にサチがいたら、「このクソババアアアアアァァッッ!!」と、叫ぶに違いない。
今はまだ、平和だ。ヨウコだけ。
(とばっちりは、いつも娘に)
登場人物
【サチ】29歳
母子家庭+α的環境で育った。
脳内お花畑な母親と、その相手に振り回され続け、大きくなった今では、いろんな事を諦めにも似た感覚で見る事がある。
物理的に親離れしたいが、母親らの妨害に遭い、上手くいかない。
母親の相手には基本、立て中指と下げ親指を向けるような感情と対応しか持ってない。
【ヨウコ】48歳
見た目と頭の中は、いろんな意味でのマシュマロ系。
物事は何層も掛けたフィルター越しにしか見えず、やる事なす事斜め上方向に走る。
言ってみれば乙女ゲーのヒロインのような鈍感さと見当違いなやる気や解釈を持った人間をリアルに出したような人間。
自分がする事は、周りの人間にとってもいい事なんだと信じているから、娘が第一の犠牲者となる。
【エイジロウと今までのヨウコの相手たち】
これまた乙女ゲーから出てきたかのような、家柄と容姿と財産を持つ男達。
何が良かったのか、ヨウコに惚れて結婚直前までいくが、家柄ガー、母子家庭ガーとうるさい周りによって被害者意識を拗らせたヨウコから逃げられた。
全員もれなくバツイチの子持ちという共通点を持つ。
既にヨウコとの入籍を果たしたエイジロウだが、それで諦める男達でもないらしい。
【エイジロウ達の息子たち】
父親のDNAをしっかり受け継いだ容姿と性格。
いろんな家柄と家庭の事情とやらでそれぞれの悩みを抱えていたが、一時義姉になったサチによって解決。更にはある程度構ってくれて、甘やかしてくれる義姉のサチは、自分たちにとっては大好きな存在。
同じ幼稚園に通うどこかの令嬢や、庶民クラスに通う少女からいろんなアプローチをされるが、眼中に無いようだ。
【令嬢と少女】
息子たちと同じ幼稚園に通う少女たち。
本作には出てないが、所謂悪役令嬢とヒロイン的立場。更には前世の記憶を持った転生者という肩書きだかスペックを持つが、相手役の息子たちの『問題』とやらは既に解決されている為、攻略もできないし断罪回避をする必要も無い。
この世界をゲームの世界と思い込んでいる為、原作通りにいかないのは、ヒロイン(悪役令嬢)のせいだ。と、互いに睨み合っているらしい。