入学初日の出来事3(プレートバトル3)
それは、丘の頂上に達した時だった。
「そんなに急いでどったの~♪」
「えっ!!」
あり得ない状況下に、俺は言葉を飲み込んだ。
「だ~か~ら、急いでどったの~♪」
なんだコイツ…
居てはいけない所に、素知らぬ顔をして立っている。
「なんだよ一年。お前話せないのか」
「あ、いえ、そんな事はありませんよ。先輩」
呑まれいる場合じゃないな。
居るはずがなくとも、実際居るのだから認めなくてはならない。
「ふむ。いいな、お前」
「そりゃ、どーも。ところで、急いでいる理由でしたよね。俺の知り合いが先に行ってしまったもんで、追いかけてたんですよ。危ない人が一杯いるんで…見かけませんでしたか?」
「いや、俺がココに来てから、お前以外に見てないぞ」
なるほど…
「そうですか、ありがとうございます」
「おい、何か分かったか?」
「さあ、どうでしょ」
確信はないので嘘ではない。だが、予想が当たると厄介かも知れないな。
「よく考えろよ。今のままなら瞬殺するぞ」
瑞穂が先輩A・Bを追いかけてから5分程で、カスミは痺れを切らし始めた。
「ねえ神城。何でアイツ等、動かないの?」
周りの様子を確信しながら、小声で話す。
「ま、ふつーに考えれば、瑞穂を待っている…かな」
「…って、そうか」
今の時点で、ランクが分かっているのは俺だけだ。
そして俺が1プレートだったら、既に戦闘は開始されていただろう。
「100プレートがココにいる事で、状況が変わったって事だよな。カスミ」
そう、俺は瑞穂の誘いがなかったらココにはいなかった。そしてC先輩が、俺を1プレートと間違え事を考慮すれば、答えは簡単だった。
これは1プレートのみ招待される、新入生歓迎会なのだ。
上級生にしてみれば、これほど美味しいイベントはないだろう。例え負けても上位ランクであるならば、ポイントの減少は少なくて済む。また、実力が伴っていない者がいたら、これから3ヵ月は美味しい獲物として食える。
まったく、胸糞悪い歓迎会だ。
戦闘は基本1対1だが、複数で囲まれば連戦を余儀なくされる。そうすれば多少の手練れでは、しんどい事この上ない。
だから、瑞穂は俺を誘ったのだ。
10人に囲まれても、2人なら労力は半分で済む。その上、さっきカスミが宣言したように集団戦をコールしておけば、別に1対1に拘らないで戦える。
因みに今、俺等を囲っているのは14人。
カスミが集団戦宣言をしたのを聞いていたので、宣言は現在でも有効だ。
そして集団戦の最大の特徴は、1人でも残っていたら戦闘は継続され、途中で逃げた者は勝敗が付かないという点にある。
勿論、戦いの最中に倒れ、自分のプレート情報を相手奪われば負けとなる。
だから、ソコで倒れているC先輩は、記録上まだ負けてはいないのだ。
まあ、それはどーでも良いのだか…
プレート情報の引渡しは、相手のプレートを自分の生徒手帳に差し込めば終了する。
さて話を戻して、何故囲ってるヤツ等が襲ってこないかと云えば、俺等を襲って倒してしまえば瑞穂に逃げられるからだ。
俺のプレートは価値がないし、カスミのプレートは1プレートである保証はない。と、なれば待つと云う選択は当然だった。
「神城。何で100プレートなのよ」
「藪から棒になんだよ。実力がないって事だろ」
俺の言葉を聞いて、納得いかないと云う表情をする。
「精霊使い、アンタの能力でしょ」
「なっ!」
あっさりと俺の能力を云い当てる。
「上位能力保持者には、相応の補正があるのよ。能力判定でどんないい加減な事をしても100プレートなんてあり得ない」
カスミは真剣な顔で云い放った。
すいません。主人公動きませんでした。
何とか今日中にもう一本を考えてます。
良かったら、見てやってください。