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学年一位 5(カスミ)

 世の中に目が点になると云う事は何回ぐらいあるだろう。正確な回数など知る由もないが、10分の間に2度も目が点になったのは初めての経験だった。


「よ、よう… 」


 なんと間抜けな… それは分かっている。だが想像してくれ、朝の6時に自分の部屋に戻ってきたら、バスタオル一枚の美少女が立っていました。さて、貴方は何て答える?


「ふ、ふ、ふぎゃー! 」


 何て声を出す。これでは俺が吃驚してしまうではないか。


「な、なんで、アンタがいるのよっ」


 否、ここ俺の部屋だし…


「でてけー、この変態っ!! 」


 否、だからココ俺の部屋だし… それに、今出て行く為にドアを開けたら、声が漏れるじゃないか。一応この部屋は防音は完璧だし、他の部屋には今程度の声なら届かない(と思う)が、ドアを開けそこに運悪く人がいたら、俺は労せず変態の烙印を押されてしまう。


「出て行くつもりがないのなら、向こうを向けぇ、このド変態がぁ~」


 我に帰った俺が見たのは、椅子を持ち上げ、こちらに投げようとしているカスミの艶姿だった。


「わ、分かった、分かったから、落ち着け」


 慌ててカスミに背を向ける。あんなもん投げられたらただでは済まない。


「落ち着けるか、このあほーっ! 」


 おそらくこの瞬間にカスミは椅子を投げたのだろう。それ以外、ドゴっと云う鈍い音と共に後頭部から、背中にかけて走った激痛の原因が分からない。


「酷くね… 」


 世の中の不条理を感じながら、俺の意識は飛んでいった。



 ◆



「はっ、夢か… 」


 目覚めた俺は、全てが夢であった事を知り、ホッと一息を着いた。


「何て恐ろしい夢をだったんだ」


 あんな夢を見るなんて… 俺ってヤツは全く。


「なっ、訳ねぇだろ! 」

「いだだだっ、ギブ、ギブ… 」


 カスミの手が俺の両コメカミに食い込む。


「ほほ~ギブね。もっと欲しいって事ね。はい喜んで~」


 だぁ~、居酒屋の店員か己は…ギリギリと締め付ける力は万力のようだった。


「あ、いえ、マジすんませんでしたー」

「次はねぇぞ」


 そう云ってようやく開放される。てか、何で俺が一方的に責められなきゃならんのだ。

 一言文句を、と思い体を起こすと、

「てっ! 」

 後頭部に痛みが走る。あ、そうだった… さっきのカスミの攻撃を思い出す。

 バスタオル一枚で椅子を持ち上げるカスミ。あれ、結構ヤバくないか。瑞穂や里美に比べれば豊かとは云えないが、ちゃんと女性的な柔らかさがあり、充分に魅力的である。

 そして何より、あの下は真の意味ではいてない。


「ふぅっおおお~ 」

「なにっ? 」


 ああ、イカン何が崩壊する。今回ばかりは人知を超えた天啓を感じたぞ。急いで修正せねば…


「い、否、何でもない。それより、お前は何であんな格好を… 」


 再び、グワシっとコメカミを掴まれる。


「いだだだっ、爪、爪が刺さってる」

「いいか、忘れろ~。さっきの事は逐一、細かく、全て忘れろ~」

「わかっ、分かった。脳内メモリーから全てを削除するから、離せ」


 解放されても、まだズキズキする。血出てないよな、まったく…


「だって、 シャワー浴びちゃったんだもん」


 忘れろと言った後に、言い訳を始めたら意味ないだろ。まあ、忘れる事なく永久保存されているのだが…


「だから、何で俺の部屋でシャワー浴びるんだ」

「寝惚けてたのよ。瑞穂が自室に戻るからって起こされて、そうしたら寝汗で気持ち悪かったから、そのまま… 」


 アホだコイツ…


「しかも、シャワー浴びてる時に、真人の部屋だって思い出して、よく考えたら着替えもないし、でもアンタがいなかったから、別にいいかって思って」


 で、あの格好で考え込んでいたら、俺が戻って来たと。やっぱ俺100%悪くないやん。


「で、俺に危害を加えた後、どうやって戻ったんだ?」


 今、カスミは自分の服を着ている。1度自室に戻ったのは間違いない。


「あ、うん。アンタの服を借りてね」

「なにぃ~」


 と云う事は、素肌で俺の服に袖を通したのだな。


「何よ。ちゃんと洗って返すわよ」

「否、それには及ばんっ! そのまま返せ」


 俺の力強い宣言に、カスミはニコニコしながら、三度コメカミを強襲する。


「安心して、10回は洗って返すから」

「あい… 了解致しました」


「もうっ、それでアンタは何処に行ってたの?」

「ああ、実はな… 」


 俺は里美との事を話した。勿論、最後のやり取りだけは話さなかったが、隠していた風術の事は包み隠さず伝える。

 カスミは真剣に俺の話を聞き頷いていたが、話が終わると、

「くそー、あの女狐抜けがけしたな」

 と、呟く。


「何だよ、抜けがけって」

「真人はいいのっ! 」


 いいって事はないだろ。


「あのなぁ… 何か少し変だぞ、お前達」

「達? 達って誰の事を指しているのよ」


 カスミに云われ、その時思い出していたのは里美だった。あの里美が突然、褒美におんぶなど云い出すのは、やはり変だと思う。そして、カスミもまた妙なところで突っ掛かってみたり、この怒り方は不自然過ぎる。


「カスミ? 」

「ああ、もうっめんどくさい。もうぶっちゃけるから、アンタも真剣に聞きなさいっ」

「あ、ああ」


 カスミの圧力に負けて俺は頷く。どうにもふざけている場合ではないらしい。


「いい、私達は今みんな不安なの! この意味分かる? 全部、アンタが悪いんだからね」

「ちょ、ちょっと待て、いきなり責められても… 」

「黙ってききなさいよっ! 」


 あかん、これは手がつけられん。


「だって、今が楽しいんだからしょーがないじゃない。アンタが居て、瑞穂と里美が居て、金縫やどーでもいいけど、一応赤屋」


 不憫だな、アイツ…


「そんな中でも、中心は真人なのよ。自覚ある、ないわよね。アンタはそーゆー男だもの」


 おいおい…


「その中心が今回居なくなるかも知れない。そりゃ、不安にもなるわよ。今の生活を続けたいと思うのは、そんなに悪い事なの」


 あ… カスミに対して掛ける言葉が見つからなかった。俺がもっといい男なら「大丈夫任せておけ」ぐらい云ってやればいい。だが、俺は頭デッカチなのだ。100%或いは、それに近い確信がなければ、そんな事は云えない。


「だから、みんな内心焦ってる。私だって、チャンスだなんだなんて、そう思いたいだけ、アンタが感じた変て云うのはその事でしょ。

 なのにアンタは飄々として、その癖、私達を安心させる言葉もない。腹ただしいったらありゃしないわ」


 一気にまくし立て、カスミは俺を睨む。


「以上、何か云う事はある? 」

「そうだな。今、云えるとしたら、済まないってだけになるかもな」

「別に謝ってほしい訳じゃないわよ」


 そうだな。その通りだ。


「分かってる… けどな、俺にはあまり云える言葉がないんだ。だから、謝った。これは心の底からの謝罪だ。軽くみるなよ」

「ふざけんな! 何で一言、任せておけって云えないのよっ!それだけで、皆あなたに着いて行くんだから」


 アンタがあなたに変わってるぞ。ったく、いつも無理しやがって。


「そんなの嘘つきたくないからに決まってるだろ、少なくても今回は嘘をついてはいけない時だ。だから、こう云っておく。期待しとけってな」

「あ… 」

「俺も意外に今を気に入ってんだ。だから、最善を尽くす。分かったか」


 こりゃ、いよいよ負けてられなくなったな。

 カスミがしおらしく頷くのを見て、俺は苦笑せざるを追えなかった。



 

今回は迷いました。これで良いか悩みました。

すいません。やっと、次回で1位が出てきます。章の半分以上来てやっとです。お付き合い下さい。

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