魔術具2
「いいか、絶対に乱用するなよ」
亮は珍しく真剣な顔をしている。
「分かった分かった…」
「いーや、その顔は分かってない!!」
うわっ、ほんとにしつこいな、コイツ…
ったく、貴重なのは分かるが、これ試作品だろ…
右手に填めた腕輪を見ながら、亮の延々と続く説明を聞いていた。
「しかし、依りにもよってコレなんだよぅ~、ホントに上位能力保持者って云うのは非常識だな」
「あはは、ゴメンね。金縫君」
亮の呟きを聞いていた瑞穂が、申し訳なさそうに謝る。
「いや~、瑞穂ちゃんはいいんだよ~。調子悪くなったらいつでも云って、調整するからね」
おいコラ…ぶっ壊してやろうかな。
試作品、腕輪と指輪…
亮が持ってきた魔術具を幾つか試してみて、分かった事は反応はあるが、すぐに使う事は出来ないという事だった。
魔術と精霊術では力の使い方が違う。
魔術を使うのであれば、やはり修練が必要なようだ。
だが、修練すれば魔術が使える。それは確実だ。
すると、亮が「コレも試してみるか♪」と云って渡したのが、この腕輪と指輪だった。
他の魔術具と違い、俺の腕輪と瑞穂の指輪はあっさりと術を発動させた。余りにも簡単に発動した為、あんぐりと口を開けた亮が印象的だった。
「風切り」
腕輪に意識を向け、風を手元に集めるイメージをする。
「だぁ~、だから乱用すんなって云ってんだろ!」
術の途中で亮に止められ、腕輪を回収される。
「何だよ、一回ぐらいで」
「アホ、試作品だって云ってんだろ!壊れたら代わりがないんだよ」
大事そうに腕輪を撫でて、破損がないかのチェックする亮。
「壊れてないな。念の為、術式の再構成しとくか」
手をかざすと、ぼんやりと腕輪が光出す。
「えっ、と。構成に問題はないな。…否、待てよ。神城は風使いなんだから、汎用性を高めるより、風の属性に特化させた方が耐久力が上がるんじゃないか…」
ぶつぶつと呟きながら、腕輪の調整をする亮。
「ふざけた奴だけど、魔術具をいじってる時は別人ね。凄くいい顔してる。私の本もアイツに調整して貰おう」
カスミはそう云うと、本の中から更に2冊の本を取り出す。
「便利な能力だな…」
「まあ、ね。ねぇ、金縫。私のも調整お願い」
「ん、そこに置いといて」
腕輪を調整している亮は、カスミのお願いを御座なりにした。
「あれ…」
亮の態度にカスミも茫然としている。
気持ち分かるぞ、あの亮が女の頼みを袖にするとは…
「ゴメン、これは俺の夢なんだ。だからいい加減には出来ない」
そう云って、亮は腕輪の調整をしている。
最強の魔術具か…亮が朝云った事を思い出した。
「なあ、それ大切にするから」
「当たり前だ。壊したら泣くからな」
だが、亮は知らなかった…カスミを袖にするという事の恐ろしさを…
その後3時間、亮はカスミに捕まり本の調整を延々とさせられた事を追記しておく。




