失われた番号4
失われ番号3で文章追加しています。
違和感を感じましたら1つ戻ってください。
よろしくお願いします。
「失礼しま…って、カスミ!」
「なに?」
部屋に入ると、まず目についた。
云われてみれば、あの時の関係者である事は間違いなく、瑞穂が呼ばれている以上、居て当たり前だったのだが、正直考えが及んで居なかった。
そして当然、速水もいるのだが、その目が「チッ、間に合いやがったか」と、如実に語ってたりする。
やはり、このボケは一度とは云わず何度でもシメないといけないみたいだ。
「ん、ふふふ。先輩、大層有能な仕事ぶり、有難うごさいました。お陰様で大変助かりましたよ」
「そうか、それはメッセージを届けた甲斐があるってもんだ」
至って普通に返してくるが、俺は知っているコイツは短気で馬鹿だと云う事を…
「いや~ホント、俺には真似出来ない見事な仕事っぷり、感服しました。あんなの先輩以外出来ませんよ」
「なになに、お前ならあれ以上の事、簡単にやるだろ、なんせ意外性の男だ」
コメカミに血管を走らせて、顔はニコニコしている二人の男…
「ガキね。二人共」
ボソッと呟くカスミ。瑞穂に至っては、恥ずかしいと云わんばかりに下を向いていた。
「よく来たね。真人君、瑞穂ちゃん」
やり取りが終わるのを待って、その男は口を開いた。その声は先程「入れ」と云った声そのものだ。
御社来栖、俺と瑞穂はこの男が、怪物と云われる所以を知った。
「あなたが理事長ですか?」
「ああ、私が御社来栖だ。真人君とは君が小さい時に逢った事があるのだが、覚えてないだろうね」
御社はゆっくりと云う。
その言葉は一言一言に惹き付ける魅了があり、更には齢80を超える老人とはとても思えない若々しさは、全盛のカリスマ性を持続している。
マジで怪物だな。
下手をするとさっきの執事より年下に見える。
「おい神城、この若作り妖怪に騙されるなよ。俺にお前らをやる様、命令したのはコイツだ」
「えっ!!」
速水の言葉に瑞穂のみ反応する。
「しかも、ご丁寧にそっちの嬢ちゃんからヤレって指示をだしてな」
なるほど、確かにこの男ならそれくらいは、平気でやるだろう。
「ふー、速水君。ネタ張らしが早いね」
「やかましい、俺はコイツの最後の力について教えると云うから、メッセンジャーの真似事までやったんだ。下らない話まで聞く気はない」
最後の力で、カスミと瑞穂が反応する。
カスミは純粋な好奇心、瑞穂は何か脅えているように見える。
「なるほど。だが、せっかちは良くないね。物事には必ず順番がある。ショートカットして辿り着いたゴールでは見えるものも見えなくなるよ」
静かだが重みのある言葉だった。
速水は完全に沈黙している。
「では、聞きますが理事長が考えるスタートは何処ですか?まさか挨拶がスタートとは云いませんよね」
どっちにしても交渉事で勝てる相手ではないが、だからといって、御社の自由にさせていたら、こっちには一切の情報が降りてこない。
「ふむ、挨拶がスタートと云うのは懐かしい事だね。君のお爺さんと初めて逢った時の事を思い出すよ」
のらりくらり言葉を躱す、御社。
「そうですか、まあ思い出話しは今度にしましょう。今は話すべき事がありますよね」
「まあ、君の云う事は最もだね。では、ネタもバラされてしまった事だし、何故に君たちを速水君に襲わせたか。これから話そうか」
皆の視線が御社に集中する。
「今、ここに居る者達の共通点だが、何があると思うかい?」
話し始めた御社は、瑞穂に向かって質問をする。
「歓迎会での一件ですね」
瑞穂は襲撃の首謀者を目の前に、言葉を選んで答える。
「その通りだね。しかし、変だとは思わないかい。あの一件、関係者と云うだけなら、まだ上級生がいるだろう。しかし、私は呼んでいない…」
溜めを作り皆の興味を自分に向けさせる。
ジジイから「あいつと話す時は絶対に会話に興味をもってはダメだ」と聞かされていた、俺も御社の話しに惹き込まれそうになる。
「敢えて君たちだけを呼んだのには意味がある。そうは考えられないかい?」
速水を含め誰も口を開かず、御社を見ている。
これはいい傾向じゃないな。
「俺等が、レアな能力を持っている。そんなトコですかね」
「うむ、ある意味当たっている。真人君に戦ってもらう相手は2年の1プレート所持者では駄目なのだよ。速水君だから意味がある」
回りくどい…だが、聞かなければならないと云う気持ちが強い。
「本多君、君はどうだい心当りがあるんじゃないか?君は、真人君の監視を二つ返事で受けた。思うところがあったからだろう」
「なっ!」
カスミに視線を向けるが、こちらを見ようともしない。
確かにあの時、カスミは俺の事を知っていた。
ただの100プレートを5位が知っているのはおかしいし、わざわざ男のフリをしていたのも変だ…その後の情報通ぶりに誤魔化されていたが、普通なら考えられない事だった。
だが、情報を教えられていたのなら知ってて当然だ。また、男の格好にしても会いづらい2年ではなく、監視対象者の目を誤魔化す為とする方が理解しやすい。
「思うところですか?残念ですけど、私としてはただの100プレートを監視してほしいなんて依頼は普通ないんで、興味が出てきただけです。それ以上でも以下でもありません」
カスミは、強く云い切る…だが、残念ながら説得力に欠ける答えだった。
「そう云うなら仕方がないね。それでは、私から正解を云おう。複数の能力だよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。速水先輩はともかく、俺達は…」
否、違う。
俺と瑞穂は…だ。
カスミは…思い当たる。
(あの、何か酷い事考えてませんか?)
(ふふ、小物ですね)
(アンタ、また変な事考えてたでしょ)
「まさか…精神感応か…」
思い当たった能力に絶句した。




