表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/63

失われた番号3

さて、困ったな。

職員棟の前で俺は呆然としていた。

14時に理事長室に来いとの事だが、よく考えれば理事長室が何処にあるのか、俺は知らなかった。

それでも、職員棟に来れば分かるだろと少し早めに来てみれば、職員棟には理事長室はなく、場所を聞けば「理事長に呼ばれているのなら、場所も聞いているはず」と、教えてくれない。


「どないしよ…」

結局のところ、速水が俺に場所を伝えなかったのが問題なのだ。

もし、故意に伝えなかったのだとしたら万死に値するし、故意でないのなら「このボケ、1回死ねや」と云う事になる。


「このままバックレられたら気楽なんだが…」

今までの俺なら、明日出来る事は明日すれば良いと

考えていただろうが、ここに来てから少し考えが変わってきている。

やるべき事を明日に先伸ばししたら、その分明日出来た事が出来なくなる。そうして、先伸ばしを続けていけば、終わりの時にやりとげた事の総数に違いが出てくる。

自分が死ぬ時、満足出来るかどうかは、事を成した大きさによるのではないか…そんな風に思えるのだ。


きっかけは、速水との闘いだった。

あの時、何もしないで死にたくないと思った。しかし、一矢報いた後でもやっぱり死にたくなかった。

自分が満足していない事を理解した。

だが、いつ死ぬかなんて俺には分からない、努力を続けても満足出来る保証なんてない。

それでも、出来るのなら惜しまなくやるべきだ。

「だから、俺に無駄な時間を使わせた速水をボコる。その為の努力は惜しまない」

右拳をぐっと握りしめ、俺は頑く誓ったのだった。


生徒手帳として配布されている端末を確認すると、13時半を過ぎていた。

飛翔(エアレイヴン)を使えば、多少離れた場所でも10分あれば着けるだろう。

とすると残りは20分程度、ここでの選択肢は二つだ。


速水を探しに行くか、理事長室の場所を知っているヤツを探しに行くか、だ。

単純に考えれば、速水を探しに行く方が確実だ。だが、速水が何処に居るかなんて分からないし、二年の領域に行けば絡まれる可能性が高い。

だったら、カスミ辺りを見つけて聞く方が効率がいいような気がする。

何故かは知らないが、カスミはかなりの情報通だ。知っていてもおかしくない。


さて、どっちが正しい選択か。

少し考えて俺は前者を選んだ。

速水は確実に知っている、カスミは知っている可能性がある。そこを基準とすれば、実質一択だった。

「うし、行くか」

二年校舎まで飛んでいけば、俺の能力はモロバレになるのだが、この際構わないだろう。


「レイ…」

「あ~、やっと見つけた!!」

おや?

飛ぼうとした瞬間に瑞穂が、俺の方へ走ってきた。

「何処行ってたのよ、探したじゃない」

探していたと云う事を強調する。

「理事長に呼ばれててな。場所探してた」

「やっぱり、場所知らなかったんだ」

どうやら瑞穂は、俺が理事長に呼ばれている事を知っている様だ。

「瑞穂、お前場所知ってんのか?」

「私も呼ばれているのよ」

GJ(ぐっジョブ)ですよ、瑞穂さん。

親指をつき出す俺に「う、うん」と訳も分からず頷く瑞穂。

「で、何処に行けばいいんだ?」

「あ、うん。講堂の奥に立ち入り禁止の区画があるんだけど、そこにくれば分かるって」

「りょーかい。んじゃ、行くか。飛翔(エアレイヴン)

瑞穂の肩を抱き、俺は飛んだ。

「え、ええ~」

余談だが一度墜落経験のある瑞穂は、一瞬で蒼白になる。

「落ちる~、おろせ~」

結局、目的地に着くまで瑞穂は目を開く事はなかった。


「ひゃ~、これは凄いな…」

講堂を越え林を抜けると、そこにはとんでもない豪邸が建っていた。

この屋敷に来いって云うなら、理事長室に来いと云うなよ…

確かにこの屋敷の中には、理事長室として使っている部屋があるのだろう。しかしこの場合、理事長の屋敷に来いと云うのが正しくなかろうか…

はかとなく速水の悪意を感じる。

一方で、もう1つ感じる。否、こっちは殺意だな…

「コロスコロスコロス…うぷっ、気持ち悪い」

どうやら瑞穂の心的外傷(トラウマ)を呼び起こしてしまったらしい。

「その…すまん…」

以前、落ちた時「二度と乗らん」と半殺しにされたが、ここまで苦手になってたとは…

さっきまで殺気まみれになっていた瑞穂が、

「もうヤダ~、帰る~…」

と、幼児退行を起こしてヘタれ込んでいる。

「だ~、ホントにスマン。何でもするから、許してくれ」

「ホント?」

ぐしゅぐしゅと目尻の辺り擦りながら云う。

こんな様、見せられたら何も云えん…

「ああ、出来る範囲で必ず」

「じゃ、結婚して」

「え…は、はぁぁぁ~」

「冗談よ。その内とんでもない事、命令してやるから、覚悟しといてよ」

ヨタヨタと立ち上がりながら、瑞穂は俺を睨み付け、屋敷に入っていった。


お手柔らかにお願いします。

心からそう願い、俺も後に続くのだった。


外見からも思っていたのだが、中に入るとそのセンスの良さに圧倒される。

至るところに装飾品があるのだが、そのどれもが落ち着きのある、所謂嫌味のない物なのだ。

それでいて高級品であろうと思わせる品。

ジジイは御社の事を、総じてセンスの良い男と評価していたがそれも頷ける。


「なんか凄いわね」

瑞穂も俺と同じ感想を持ったようだった。

「お待ちしておりました」

装飾品を一通り見ると、狙ったかのように、一人の男が頭を下げた。

年の頃なら50歳ぐらい、装飾品にも劣らない落ち着きと、高級感を纏った執事だった。

「真人、執事よ執事…」

何故かテンションが上がりまくっている。

「落ち着けよ…」

「だって執事よ、これで落ち着いていたら、執事ストとして失格だわ」

その執事ストとは如何なるイキモノだ。

「ねえねえ、執事って旨いのかな」

こいつは…古過ぎるボケが逆に新鮮に感じるじゃねーか。

だが、あかん。

コイツの名誉の為にも、以後無視しよう。

「神城様、水鏡様でございますね。主が2階でお待ちしております。お連れ様もいらしておりますので、どうぞこちらへ」

お連れ様か、速水は既に来てるって事だな。

俺達は、促されるまま階段を上がって行く。


俺は念の為、探査(サーチ)をする様、準備をしたが、

「当館では、決められ術以外の能力の使用を禁止しております」

と、執事にあっさり止められた。

ここで制止を振り切ってまで行う事ではない。

諦めてその後は、大人しく着いていくのだった。


階段を上がって右奥の部屋だった。

執事さんは、部屋の前に立つとノックをする。

「神城様と水鏡様をお連れ致しました」

「入っていただきなさい」

その透き通るような声に身震いする。

御社来栖は齡80を越えているはず、しかしその声は高齢の者の声ではなかった。


そして、開かれる扉。

その部屋にいた人物に俺達は、再度驚かされたのだった。



本当にすいません。少し文章を追加しました。

是非、読んでいただければ幸いです。

また、書きはじめてから1週間、遅い進みの中初めてポイントをいただきました。

入れてくれた方有難う御座います。やる気でました。ちょっとペースを上げて頑張ろうと思ってます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ