表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/34

第33話覚悟

優乃さんが落ち着いたのを見計らい、俺は、ともねえと一緒に病室を出た。

思い出したら、まだどきどきする。

癒しに行ったのに、癒されてどうすんだ。


「ほんと、ピュア~な恋よね」


病院中に響き渡る、ともねえの声。

せめて、早く病院の外に出たい。

でも、この病院は、入り組んだ迷路だ。

駐車場まで、道のりは長いぞ。


「他人事だと思って……」


ようやく1つ目のエレベーターに乗る。

このエレベーター、遅い……!

尋問が始まるから、勘弁してくれ。


「何をそんなに躊躇うことがあるのよ」


「ともねえも知ってるだろ? 優乃さんの過去……」


初めて話してくれた日の、あの辛そうな表情。

……怖いよ。

次は、俺が、あの表情をさせる男になるかもって思ったら。


「もちろん。だから、ガードが堅すぎて、誰も壊せないのよ」


「俺なんかに壊せるわけがないだろ」


でも、そのガードを突破しないと、先へ進めないのも事実だ。

ず~っと、エレベーターの中にいるみたいになる。


「いいや。篝なら、できる」


ともねえが、そう言った途端、エレベーターが開く。


「なんだよ。その根拠は」


自信満々すぎるだろ。

廊下ですれ違う通行人が、女王様と従者がいる……みたいな目、してるぞ。


「……というか、壊してほしいという、私の願望かな」


「ともねえ……」


「幸せになってほしいのよ。優乃にも、篝にも」


ともねえ……そんな風に思ってくれてたのか。胸の奥が、じんわり熱を帯びる。


「わかった。落ち着いたら、ちゃんと、優乃さんと話をする」


俺も、覚悟を決めよう。

そもそも、この命は、幸せになるために使うと決めてるんだ。

優乃さんと……一緒に……。


「これでよし……と」


俺が、感動している横で、ともねえがスマホで作業してる。

ん? 何してんだ?

画面には、録音済……だと……?


「あっ……! ボイスレコーダー……!」


人の話を勝手に録音すんな!

すかさず、スマホを奪い取ろうとするけど、ともねえは素早い。

あっという間に、鞄の中へしまわれた。


「言質、取ったから」

「ちょっ……!」


俺の感動、返せ!

……って、どや顔のこの人に言っても、無駄か。


「じゃ、頑張ってね~」


気づけば、念願の自動ドアの前。

ともねえは、風のように、いなくなった。

ま、いいや。今の俺なら、できる。

今度こそ、腹をくくるぞ。マジで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ