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館
”きせきの館”
とても異質な言葉だった。スマホで調べてみる。少しスクロールしていると出てきた。どうやら占いの店らしい。ただ、この店が普通の占い店ではないのだろう。なにせ、乙華をあんなふうに変えてしまったんだ。真実を知るためにも行くしかない。運がいいのか悪いのか、このバスの行き先の駅からそう遠くない位置にある。
「ここ、か」
見落としてしまいそうな、街の一角に佇んでいる「きせきの館」
いかにも怪しい。いや、ここで引いたら意味じゃないか。覚悟を決めて、扉を開く。
なんだか一気に気が抜けた。受付があって、奥にソファーが置いてある。きっとあそこが待合場なんだろう。ただの店と何ら変わらない。身構え損だったような。いやいやいや、きっとこの先がやばいのだろう。
普通に受付をしてしまった。もうすぐ占いを受けれるらしい。そこに乙華を変えた理由が潜んでいるのだろう。
自分の名前が呼ばれる。とうとうだ。気を引き締めて、細部に気をつけて、乙華が変わってしまった理由を探すんだ。
占い師がいる扉に手をかける。